環境省は21日、アスベスト(石綿)が原因とされる中皮腫(ちゅうひしゅ)による70年以降の死亡者が、最大で9993人に上るとする推計をまとめた。同省などが来年の通常国会提出を目指している「石綿新法」では、これらの死亡者のうち、労災補償の適用対象外の被害者を救済することにしており、遺族への一時金は医療費の自己負担分(月約10万円)をもとに平均2年分、240万円とする方針。同省は今回の一時金の対象者は最大で9500人程度になる可能性があるとみている。
厚生労働省の人口動態調査で、統計が残っている95〜04年の間の中皮腫の死者は7013人だったことが分かっている。
統計がない時期については、石綿輸入量170トンに1人が発症すると仮定して計算し、70〜94年は最大で2195人と推計、今年の分も含め、死亡者は8826〜9993人とした。
遺族一時金は中皮腫を発症してからの医療費などを救済するもので、医療費の自己負担分を月額約10万円とし、中皮腫発症から死亡するまでを平均2年として計算することで調整している。ただ、闘病期間が2年以上の被害者もおり、これらの人については慎重に検討する。
死亡者の葬祭料や、現在治療中の人を支援する手当は、原爆被爆者援護法を参考に、それぞれ19万円、月7万円程度で調整する。
中皮腫で労災認定を受けているのは、治療中の人も含めて約500人。今回の一時金の対象は、全体の死亡者から労災認定を受けた死亡者を差し引いた人数になる。
同省は、中皮腫のほかに、石綿が原因とみられる一定の医学的所見を持つ肺がん被害者についても同様に救済する方針。
過去の死亡者の推計とは別に、同省は2010年までに中皮腫だけで6千人、肺がんと合わせて最大1万5千人が死亡すると推測している。