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プロ野球西武の堤義明オーナーの発言が球界を揺るがした。7日、東京都内で行われた12球団オーナー会議(渡辺恒雄議長=巨人オーナー)。堤氏が「パ・リーグで近鉄とオリックスのほか、もう1組の合併の話が進行中」と報告すれば、渡辺氏は「来季からの1リーグ制が望ましい」と歩調を合わせた。近鉄とオリックスの合併案に労組プロ野球選手会(古田敦也会長=ヤクルト)が「1年間の合併延期」を呼びかけてから、わずかに2日。慎重論をけ散らして、プロ野球界が10球団、1リーグ制移行へ大きくかじを切ろうとしている。50年から続いているパ・リーグは消滅の危機に直面した。
会議が始まって約1時間半たったころだという。堤氏が「もうひとつの合併案」を明らかにした。「球団名は言えない」と続けた。他球団からの質問はなかった。さらに堤氏は「5球団では(運営が)立ち行かなくなる。助けて下さい。ぜひ、(1リーグを)お願いしたい」。セ・リーグ側に頭を下げた。
そのオーナー会議終了から1時間後、堤氏は、他のオーナーとは別に、都内にある西武系列のホテルで会見した。
「近鉄とオリックスの合併が事実上決まり、パ・リーグ5球団でリーグ戦を始めてからどこかのチームが脱落したら、パ・リーグは壊滅的になる。先手を打って4チームとし、セ・リーグに一緒にやってくれとお願いする方が賢明」
いきなりもう1組の合併案をちらつかせたことにオーナー会議の出席者は驚きの色を隠せなかった。「堤さんが別の会見場を設けていると聞いて何か爆弾発言があると思っていたが、本当に衝撃的だった」と、中日・白井文吾オーナーは感想をもらした。
果たしてもう1組の合併チームはどこになるのか。
セ・リーグのあるオーナーは「西武が軸であることに間違いない」と言い切る。ある球界関係者は、オーナー会議後に得た情報として「西武・ダイエーの合併が濃厚」と語った。ただ、西武とロッテ、ロッテとダイエーの合併を口にする関係者もいる。
今回表面化した近鉄とオリックスの合併案は、1リーグ制推進論者として知られる渡辺氏らがシナリオを描いたとされる。「セ、パ11球団なら2リーグ。もう1組合併して10球団になれば1リーグ」と明言していた。「日本は12球団を10球団に整理し、適正規模にすればみんな黒字になる」
渡辺氏の考える適正規模は最終的には8球団。「まずは10球団」というシナリオ通りに、今回の再編は進んできた。ところが、思わぬ“邪魔者”が現れた。新興企業のライブドアが近鉄買収に名乗りを上げた。「買い取り手がなかったから」という合併論の根本に疑問を突きつける形になった。時を同じくして、選手会の強い反発が起こっていた。近鉄選手会はファンの署名活動に参加する意思を明らかにした。
そこに、かねて1リーグ移行を主張していた堤氏が、26年ぶりに“表舞台”に登場してきた。堤氏は93年に渡辺氏の唱えた新リーグ構想に賛同した経緯がある。会議前、堤氏は出くわした渡辺氏に歩み寄った。「いろいろどうも」。2人は握手を交わして、会議場に消えた。そして、「第2の合併」を公表。1リーグ制へ流れを一気に引き戻した形だ。
ただ、一度に2組もの合併案が、渡辺氏が描く通り、9月8日のオーナー会議までに順調に進むかどうかは波乱含みだ。
労組プロ野球選手会の古田会長はナゴヤドームで行われた中日戦の試合前に、オーナー会議の内容を知った。試合後コメントを求められた古田会長は、しばらく黙りこくった後「七夕やというのになあ。悲しいことやなあ。ストライキ権もあるし、何をやるかみんなで話し合っていきたい。こういう(合併)話を選手、ファンの意見なしに進めて欲しくない」と語った。
ライブドアの幹部は「素晴らしい出来レース。厳しい状況であることは認識しつつ正論で突き進み、やれることをやっていきます。白旗を上げることはない。しつこいですから」と言った。
セ・リーグ内にも早急な1リーグ制への流れを危惧(きぐ)する声が出ている。広島の松田元オーナーは「経営者サイドでものを見すぎで危険。ことの流れがあまりに拙速で、選手も我々も戸惑っている。もう少し慎重になって欲しいとお願いした」と語った。別の球団幹部は「10球団に減れば、次は8球団。そのとき、うちは残れるのかどうか」。ともに巨人戦の主催試合が減り、1試合1億円とも言われる放映権料など収入が減ることに危機感を覚える。
近鉄とオリックスの合併が表面化してからわずか1カ月足らず。誕生70周年を迎えたプロ野球の将来が大きく動こうとしている。
(07/08 08:01)
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