球団合併問題をめぐる仮処分申請で、東京高裁は8日、日本プロ野球選手会の即時抗告を棄却する決定をした。原田和徳裁判長は、選手会には団体交渉権があるとしたが、今回のオリックスと近鉄の合併問題については仮処分を認める必要性まではないと判断した。一方、日本プロ野球組織の交渉態度を「誠実さを欠いていたことは否定できない」と指摘。9日からの選手会との話し合いで誠実に交渉しなければ「不当労働行為の責任を問われる可能性がある」と警告した。
高裁決定は、仮処分申請を退けた東京地裁と同様、選手会の団体交渉権を認めた。そのうえで、オリックスと近鉄の合併に伴う選手の労働条件について団体交渉をしなければならない、と指摘した。
さらに、元東京高検検事長の根来泰周氏がコミッショナーであることを挙げ、「プロ野球組織の代表者には著名な法律家が就任しており、9日からの選手会との交渉では実質的な団体交渉が行われることが期待される」と言及。そうでなければ国民の信頼を失いかねないと指摘した。
しかし、これからの話し合いでお互いの議論が深まる可能性もあり、高裁決定は「現時点では仮処分を行うほどの状態には至っていない」と結論付けた。
この問題をめぐっては、選手会の会長を務める古田敦也選手(ヤクルト)ら3人が、合併差し止めなどを求める別の即時抗告をしたが、東京高裁は6日に棄却している。
(09/08 23:14)
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