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プロ野球初のストライキが、ついに現実のものになった。労組日本プロ野球選手会(古田敦也会長=ヤクルト)と日本プロ野球組織(NPB=日本野球機構)の労使交渉は、午後5時とされた交渉期限を大幅に延長して行われたが、最終的には決裂。選手会は18、19日のスト突入を宣告した。2週連続の週末ストに発展すれば経済損失は60億円とも言われ、各球団や球場関係者などは頭を抱えた。新規参入を狙う2社の経営者はNPBの対応に不信感を表した。
4時間…機構認めず
午前11時の交渉開始から約10時間。記者会見場に並んだ双方のメンバーの顔は厳しかった。
交渉のポイントとなった新規参入について、古田会長は、合意事項に「NPBは来季に向け最大限努力する」と盛り込むよう要求した。NPB側は「来季に向け」にも「最大限の努力」にも難色を示した。巨人とオリックスが強硬に反対したという。
NPB側は「来季に向け」という文字を「今後に向け」とする案を出したが、選手会側は納得しなかった。もともとの交渉期限だった午後5時ごろ、さらにNPB側が「05年以降」とする案を出し、実はまとまりかかったという。選手会は別室に移って討議。しかし、古田会長から「玉虫色ではやっぱりだめ。『05年から』として欲しい」との趣旨の発言があり、結論に至らなかった。
「最大限努力する」を受け入れなかった理由を、巨人の清武英利球団代表が説明する。「審査もしていないのに、『最大限努力する』と言ってしまうと、審査はフリーハンドでなくなる。公正に審査するために『最大限努力する』という文言は入れられない」
選手会が「来季」「最大限の努力」という表現にこだわった理由は明白だ。いびつな「セ6、パ5球団」の是正はもちろんだが、新規参入を認める時期が明示されないことで、いまだに球団削減を目指す動きが消えていないのではないか、との危機感を抱いているのだ。選手会が報道陣に配った文書にはこう明記された。「いまだにさらなる球団削減を希望する意思の強い球団が存在することから調整がつかなかった」
交渉期限は当初の期限の午後5時から約4時間延長された。午後5時3分、NPBの伊藤修・選手会担当顧問が「私どもが2時間の期限延長を申し入れ、引き続き最終的な協議を行っています」。2時間20分後の午後7時20分。コミッショナー事務局の下田邦夫広報部長が「NPB側から申し入れて、最後の協議に入っています。今しばらくお待ちください」。さらに1時間半。待ち受けていたのはストライキ突入という結論だった。
参入を狙う2氏は怒り
労使交渉の焦点となった新球団に名乗りをあげていたインターネット企業2社の若き経営者は、いずれもが本社を構える東京・六本木ヒルズで、怒りを隠さなかった。
「すごく残念だ。なぜ話し合いがまとまらなかったのか」。ライブドアの堀江貴文社長(31)は高層ビルの38階にある本社で、「選手のリストアップなど、かなり具体的なところまで新球団の話が詰まっている。ストが長期化すれば、ファン離れにつながる」と球界経営側の対応を批判した。
夕方に相次ぎ出演した民放番組では、社会人野球や米独立リーグの選手から「入れてほしい」との電子メールが届いていることも明かしていた。
一方の楽天の本社も、同じビルの18、19、21階の3フロアに陣取る。堀江氏とは対照的に、三木谷浩史社長(39)は本業に専念し、事態の推移を静かに見守った。だが午後10時すぎ、地下1階に現れると、球界経営側へ不満をあらわにした。
「われわれは十分(来季参入に)間に合う。説明を聞かずに判断するのは、柔軟性が足りないのでは。既存球団のオーナーに納得してもらえるように自ら説明したい」と語った。本拠地としては、神戸のほかに大阪ドームも視野に入れていることも明らかにした。
経済損失「60億」
「損失? 正直言って大きいよ。返してもらいたいくらいだ」
セ・リーグで首位を走る中日関係者は肩を落とした。18、19日の名古屋での巨人との首位決戦がなくなり、チケット収入で3億円弱、テレビ放映権料で1・8億円をそれぞれ失うからという。
大阪府立大の宮本勝浩教授(数理経済学)の試算によると、ビールや弁当、グッズ販売など球場減収分も含めると、中日側損失は6億円超だ。
2週連続の土日ストになれば、球界全体で18試合がなくなるが、直接的な経済損失を宮本教授は約30億円とはじく。観客の交通費や周辺での飲食費などの波及効果も考えれば総額60億円に達するという。
主催試合が4試合と最も多い横浜は、先週末のスト回避で「計6試合で7億円損失」の最悪の試算を脱したかにみえた。しかし今週と来週のストで「年間主催試合の7%の収入が吹っ飛ぶ」(球団関係者)。
(09/18 10:38)
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