日本プロ野球組織(NPB=日本野球機構)は2日、東京都内のホテルで実行委員会とオーナー会議を開き、来季からパ・リーグに参入する球団を、IT関連企業の楽天(三木谷浩史社長)とすることを正式に決めた。球団名は「東北楽天ゴールデンイーグルス」(通称・楽天イーグルス)で、本拠は仙台市の県営宮城球場となる。プロ野球にIT関連企業が参入するのは初めてで、球団買収でなく新球団ができるのは54年の高橋ユニオンズ以来、51シーズンぶり。来季はセ、パ両リーグ6球団ずつの12球団制が維持される。
楽天とともに加盟申請していたIT関連企業ライブドア(堀江貴文社長)との比較で、楽天を選んだ。オーナー会議後、記者会見した滝鼻卓雄議長(巨人オーナー)は「球団経営を継続できるか、赤字体質のパ・リーグで耐えられる親会社の経営状況が判断材料になった」と説明した。
NPBが発表した資料によると、04年12月期の楽天の経常利益見込みが145億円に対し、ライブドアの9月期速報値は51億円。また、楽天の営業利益が「ネット通販」42%、「金融事業」38%で二本柱になっているのに対し、ライブドアは「金融事業」だけで74%を占めていることへの懸念から、安定性の面でも楽天の方が上位と判断した。
新規参入については、NPBは9月末から審査小委員会(委員長・豊蔵一セ・リーグ会長)を設置し、2度にわたるヒアリング(聴聞会)や監査法人による財務状況の報告などを受けて審査した。審査小委から報告を受けた実行委員会がこの日、全会一致で楽天の参入を決め、オーナー会議も全会一致で承認した。
東北地方を本拠とするプロ野球球団は、73〜77年に仙台市に本拠を置いたロッテ(73年は準本拠)以来となる。楽天の監督には野球解説者の田尾安志氏(50)の就任が決まっている。
楽天は97年に設立、インターネット商店街の最大手として成長した。今年1月、三木谷社長が個人全額出資するクリムゾングループがJリーグのヴィッセル神戸を買収し、経営を続けている。
プロ野球の再編問題は、6月にオリックス・ブルーウェーブと大阪近鉄バファローズが合併構想を発表したことで巻き起こり、NPBは来季は11球団で運営すると一時は決めた。9月の日本プロ野球選手会(古田敦也会長=ヤクルト)のストライキを機に、来季の参入を認めることとなった。
ライブドアの堀江社長は、球界参入の可能性について「今後は未定」としている。
(11/02 20:28)
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