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2012年12月18日22時53分
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子どもの割合日本一の村で 「いいとこ取り」感覚の同居

写真:中野小百合さん=舟橋村、赤田康和撮影拡大中野小百合さん=舟橋村、赤田康和撮影

 【赤田康和】面積が3・47平方キロメートルと東京ディズニーランド7個分しかない、「日本一小さい自治体」の富山県舟橋村。驚くのは、平成に入ってからの四半世紀、人口が増加傾向ということだ。しかも15歳未満の子供が全人口に占める割合が21・8%と、全国の市町村の中でトップだ。

ご意見・感想はフェイスブックの特設ページヘ

 朝日新聞の新年企画では、交流サイト・フェイスブックの特設ページ「オルタナティブ・ニッポン」で、少子化問題を解決する道を開かれた場で議論している。舟橋村には少子化解決のヒントがあるのではと思い、村の人に会いにいった。

 村内で「COCOCHI」というスポーツ選手向けのアロマサロンを経営する中野小百合さん(45)。村の公式フェイスブックの運営を手伝ったことがあり、個人としてもフェイスブックを使っている。「友達」申請した上で取材を申し込むと「私でよければ」と快諾してくださった。

 「フェイスブックは村が主催した講習会で使い方を学びました。講習会は4人しか出席せず、みんなお年寄り。村ではフェイスブックも村のことを知ってもらうために使いたかったようですが、役場では結局手が回らないというので、私が投稿していました」

 中野さんは、舟橋村で生まれ育った。だが、平成になって人口が増加したのは、村が富山市のベッドタウンとして発展したことによる。「川を1本超えれば富山市。とても便利な街なのに、土地代が安い。だから村に住んでいるという人が多いと思います」と中野さんはいう。

 中野さんは夫も村の人。村には保育所、小学校、中学校が一つずつしかなく、かつては1学年20人程度だったので、4歳年上の夫のことも知ってはいた。よくしゃべるようになったのは盆踊りや餅つきなど地域の行事を担う青年団の活動。村民に配る新聞を徹夜でつくるなど、「昔は青年団がさかんで、独身の男女にとっては出会いの場でもあった」という。

 22歳の長男、21歳の次男、16歳の長女の3人の子どもがいる。「まわりに子育てしてもらったとつくづく思います」と振り返る。スポーツを一緒にする村の仲間や、顔を見知った近所の人など、地域コミュニティーに支えられていた。夫の両親と同居。自分の実家も車で1分ほどの近さ。「とにかく手がいっぱいあった。育てやすい環境にいたなあと思います」

 夫の両親との同居は、多くの人がそうであるように、生活スタイルの違いなどからくる摩擦に、戸惑い、思い悩むことは少なくなかった。「うまくやろうと無理しないほうがいい」と割り切れるようになってから楽になった、という。

 子どもにこう率直に言いもしたという。「おばあちゃんとお母さんはうまくいかないことがあるの。でもね、あなたのことをおばあちゃんは大好きだから、あなたがおばあちゃんのことを気にかけてあげてね」

 少子化の背景にはまず、「核家族化」があると体験的には思っている。「子どもが泣き叫び、一人おっぱいをあげているのに、横には眠り込んでいる夫がいる。疲れ果て、正常な判断ができなくなり、泣き叫ぶ子どもの口を押さえたくなることもあります。その意味では、3世代で暮らすことで助けられることは多い。若い頃はみな両親世代との同居を望まないけれども、『いいとこ取りさせてもらう』という感覚でよいと思うんです」

 働く母親に対して、職場の理解が足りない問題もある。中野さんは地方銀行に勤めていたが、休憩をとって、出過ぎてしまう母乳を絞っていると、先輩の女性行員に「私は我慢したわよ」となじられた。3番目である長女が生まれときには、育休の制度ができていたので申請したら、「そんなものを取らせている店はありません」と支店長に言われた。そこで辞職した。

 女性は母親であるというだけでは生きていけない、とも思っている。男たちに父親という顔とは別の、働く男の顔が当たり前のようにあるように。「女が女であることは子どもにとっても大事。女性は社会とつながっていたいんです。職がなくなるのはみんな悔しいはずです」。中野さんは、子育てが山を越えつつあることもあり、来年からはフェイスブックなどネットを通じて宣伝に力を入れ、アロマサロンの仕事を増やすつもりだ。

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