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2012年12月24日03時00分
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日韓インタビュー(1)「小さい島でケンカするより…」

【武田肇】日韓インタビュー〜どうする竹島・歴史認識問題(1)

〈特集〉新年取材班「ビリオメディア」

●ソウル大に留学中の日本人学生リエさん(29)

 12月上旬に記者と一緒に韓国・天安市にある「独立記念館」を一緒に見学。その後、記念館の感想を含めてインタビューしました。

――なぜ韓国に留学したのですか?

 いまソウル大で看護学を学んでいます。きっかけは、勤務先の病院で韓国人の患者さんと仲良くなり、韓国の進んだ美容に興味を持ったことです。その時の韓国の印象は「キムチがおいしい」「整形している人が多い」。その後、ソウルに語学留学したのですが、出発前、年配の人たち(60代くらい)は「なぜ?」と何度も聞かれました。韓国を劣った国と見ていて、何か学ぶものがあるの?と不思議みたいなんです。私は韓国に来る前も、来た後も、韓国を劣っているとか遅れているとか思ったことはありません。私たちの世代は大体そうじゃないかな。福祉については日本より遅れているとは思いますが。

――日本と韓国の歴史問題については、いつ、どうやって知りましたか?

 韓国に興味を持つまで全く知りませんでした。学校で習ったはずだけど記憶に残っていなかったのです。竹島(韓国名・独島)のことも、なんとなく騒ぎになっているという程度でした。私の周りの子もだいたいそんな感じです。

 私の場合、日本で出会った韓国人の恋人がきっかけでした。彼は立教大で歴史を専攻していて「韓国と日本の歴史を勉強してほしい」と言われ、韓国語の歴史漫画を読みました。でも、その時の感想は「当時の韓国は国が弱かったから、植民地になったのは仕方ないのじゃないの」「どうして韓国の人たちは今でも過去にこだわり続けているの?その執念がすごい」というものでした。

――韓国の人たちが歴史認識にこだわることをどう受け止めますか。

 植民地時代、韓国の人たちがつらい思いをしたというのはわかります。でも、若い人たちまで過去にこだわり続けているのは、ちょっと理解できません。私は子どもの頃、いじめを受けていたのですが、今、その子たちを恨んだり、今の自分がダメなのはいじめのせいだとか思ったりしません。過去は変えられないし、前を向いていたい。私の個人的な生き方と国と国の話では次元が違うかもしれませんが。

――独立記念館を見学した後の感想を

 (日本の憲兵が韓国の独立運動家を拷問している場面を再現した等身大の人形を見て)痛そうと思いました。私だったら、すぐ考えを放棄しているだろうなと。小学生がこの展示を見たら、日本は最悪と思うでしょうね。

 私はこういう展示を見ると、韓国の大人たちは子どもたちに何を伝えたいのだろうと思ってしまいます。歴史の事実を心に残したいのか、それとも日本嫌いにしたいのか。歴史的事実だけを子どもに伝えたいなら、ここまで生々しく、子どもたちのトラウマになるほどの展示にしなくてもいいと思います。歴史を伝える目的はどっちなのか、その点が正直わからないです。

――竹島問題を考えたことはありますか?

 日本にいるときは全く考えたことがありませんが、韓国に来てから時々考えさせられます。

 実は最近、こんなことがありました。韓国の地方都市で開かれた「B1A4」(ビーワンエーフォー、韓国の男性五人組アイドルグループ)のファンイベントに友だちと行ったのですが、そこで「B1A4」のメンバーが地元商店街で買った品物をオークションに出すという催しがあったんです。日本人のファンもたくさん参加していたのですが、その1人が「日本人」と紹介されたとき、韓国のファンから「ドクトヌンウリタン(独島は我らの領土)」という声が上がったのです。

 はあ?と思いましたね。一気に白けてしまいました。同じアイドルを、同じ熱い気持ちで応援しているのに「国」で差別するなんてあり得ないと思いました。日本で、たとえば「嵐」のコンサートがあって韓国人のファンが来ていたとしても、その人に向かって「竹島は日本の領土」なんて言うことは100%ありえないですよ。

 日本のファンに「独島は我らの領土」と叫んだのは、中学生くらいの女の子でした。中学生だから、失礼とかそういう感覚がないのかもしれない。でも、そんな行為をしてしまうほど、韓国の人たちにとって竹島が身近で、日本人と重なるのだなと思いました。

 幸いなことに、後日ファンの掲示板を見ると「日本のファンにあんなことを言う子がいて、韓国人として恥ずかしい」「せっかく同じ気持ちで応援しているのに」という韓国人の書き込みがありました。全員が全員、あの中学生のような感覚じゃないのだな、思い、とちょっとほっとしました。

――竹島はどちらの国のものだと思いますか。

 うーん。ウィキペディアで調べると、日本と韓国どちらも「昔からうちのもの」と言っていて、どっちもどっちという感じです。

 正直言って、私、竹島が日本でも韓国でもどっちでもいいんじゃないか、という気持ちなんです。そんな小さな島で争うことよりも、アジアは欧米に比べていろんな意味で発展が遅れているから、さっさと力を合わせて協力してよと思います。竹島でケンカするよりも、地球全体のために、日本と韓国が協力してやらないといけないことがあるんじゃないかな。

――日本人と韓国人の同世代、考え方の違いをどう感じますか

 日本人って、自国の歴史と個人の気持ちが離れていると思うんですよ。たとえば「BIG BANG」が好きだけど、竹島で争っているから応援しない、ということは、日本人はあまりなりません。

 でも、韓国人は、同世代であっても、自国の歴史と自分の気持ちがかなり一致している感じがします。先ほど、紹介した中学生もそうないでしょうか。

 でも、韓国の若い世代も少し変化している気がするんです。たとえば、学生同士で集まったとき、誰かが独島(竹島)のことを持ち出そうとすると「なぜ、こんなところで、そんな話をするの」と制止する子がいる。歴史認識が薄れていっているのか、国際的な感覚になってきているのか、どうなのかわからないけど、そんなことがあります。

 もちろん韓国人はたくさんいいところがあるし、韓国が好きなんですよ。不愉快なことがあっても全部嫌いになることはありえない。韓国大統領が竹島に上陸したときも、自分の利益のために騒ぎを引き起こす政治家がいると、あきれただけです。

 私はときどき「日本人でいること」が面倒になるときがあるんですよ。たとえば米国人にならば、歴史とか領土とかいろんなことを意識しないでも済むのかなと。こんな感覚になるのは、やっぱり韓国に来たからかな。

 あと2年、韓国で勉強する予定です。

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