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2013年1月2日23時00分
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〈取材後記〉真偽不明、つぶやきの元たどる

 【杉本崇】大容量のデジタルデータを効率的に解析する「ビッグデータ分析」。私は、総選挙に関するツイッター上のつぶやきを分析するチームの一員として、1カ月半取材を進めてきた。

ビリオメディアツイッター分析

 この分野に関して、朝日新聞はあまり報じて来なかった。検索すると、記事は10件にも満たなかった。私自身、ビッグデータの取材経験はなかった。

 ビリオメディア取材班の昨年11月の打ち合わせ。「東電テレビ会議の検証をツイッター上で一緒に呼びかける」「放射能に関していまだにはびこるニセ科学の現場を歩く」こうした企画案を提案した。

 「面白い」という評価も頂いたが、事態は急展開。年末に解散総選挙が決まり、選挙というテーマを取り上げないわけにはいかなくなった。そこで、先輩の竹下記者が提案したツイッターのデータを使った選挙分析班に参加することにした。ツイッター社によると、日本語はツイッター上で使われている言語でトップ3に入っており、毎日、膨大な量のデータが積み上げられていく。ビッグデータ分析を自ら体験することになった。

 ツイッターの声が民意のすべてではない。しかも、誰もが発信できるという利点がある一方、誤解を含む情報も一気に拡散する。政党や政策に関する日々のつぶやきの推移を追いかけると共に、選挙に関して真偽が確かめられないつぶやきの出元をたどる取材も開始した。

 正直なところ、顔も合わせたことがなく、声も聞いたことがない人に取材をするのは緊張する。記事に書いて喜ばれる話とも思えなかったので、取材拒否も覚悟した。「お伺いしたことがあるのですが、(非公開のメッセージをやりとりする)ダイレクトメールを送っても良いでしょうか」とおそるおそる連絡を取ってみた。

 結果としては、10人近くに取材を申し込み、取材に応じてくれた人は半数ほどだった。ただ、取材を受けてくれた人は丁寧に応対してくれたのでほっとした。

 昨年12月、「日本未来の党」が立ちあがる前「国民の生活が第一」を「生活党」と書くと無効ではないかというつぶやきが広まっていた。どうしてそう感じられたのか、つぶやきのきっかけとなった一人である「生活」支持者の埼玉県在住の女性とは、1時間にわたり話し合った。ただ、翌日には「日本未来の党」への合流が決まったので記事になることはなかった。

 その後も、「赤ちゃんの乗っている車が信号待ちの時、そばにいた自民の選挙カーはスピーカーを止めたが、民主は止めなかった」という内容を2011年4月につぶやいた人、昨年12月5日にこのつぶやきをリツイート(転載)した人とも接触できて、なぜ広まったのかを詳しく知ることができた。

 12月22日にツイッター分析に関する一連の記事を掲載した。「スピーカー」について最初につぶやいた人からは励ましのメールを頂いた。ツイッターを使った選挙報道に肯定的な記事が多い中、警鐘を鳴らす記事が掲載されたことに「ああいう記事も載るということは良いことだと思います。ありがとうございました」とあった。

 ツイッターの双方向性を生かして、記事に対してつぶやいて頂いた人にもツイッター上で接触した。

 「(政党のつぶやきに対する)前向き度と後ろ向き度をどうやって検証したのか興味があるが、何にしろ分析とデータの表示という今新聞に求められていることをやったことは、朝日と言えど評価する」

 こうつぶやいてくれた人に分析方法を紹介したところ、次のように返事を頂いた。

 「正直朝日新聞きらいなのでマトモでびっくりしてるんですが、こういうデータの活用には未来があると思いますし、また本当の意味での公正であると思いますので応援します」

 もっと新聞らしい深みのある記事を書くことに力を入れるべきだという指摘も読者の方から頂いた。一方で、ツイッター分析という新しい試みを評価してくれる人もいる。今ある取材手法に期待してくれる人、新しい取材方法に可能性を感じてくれる人の期待にも応えられるよう今後も両面から取材を進めていきたい。

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