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2013年1月9日03時00分
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〈サイバー戦専門家に聞く:2〉最も危険なやつは

写真:ラック社のサイバーセキュリティ研究所長、伊東寛さん=東京都千代田区拡大ラック社のサイバーセキュリティ研究所長、伊東寛さん=東京都千代田区

 【佐々木康之】ポケットにはスマートフォン。オフィスへ行ってまず開くのはパソコン。その背後にある危険とは――。情報セキュリティー会社ラック(東京)のサイバーセキュリティ研究所長・伊東寛さんに、ソーシャルメディアに潜む落とし穴、その先に待つサイバー攻撃の脅威などについて聞いた2回目です。

特集:ビリオメディア

     ◇

 ――伊東さんが「より危険だ」と指摘されている「気がついていない危険」について教えてください

 私は講演でよく尋ねます。「この組織はオープン系とクローズ系の二つのシステムを持っている。オープン系はインターネットとつながっている。クローズ系は切り離している。どちらが危険だと思いますか」。だいたい「オープン系が危ない」と答える。「間違っています。クローズ系が危ない」と言っても半信半疑ですね。「気がついていない危険」です。これは危ない。

 ――どうしてクローズ系が危険なのでしょう

 なぜ危険かを説明する時、まずUSBメモリーの話をします。「皆さんいい人だから、僕がUSBメモリーにウイルス入れて落としておくと、皆さんこれを拾って『誰のですか?』と聞き回る。そして『大切な情報が入っているのでは』と思い、持ち主を探してあげようと差すんでしょう、クローズ系のパソコンに。それでアウトです」と。

 ――ほかには

 Wi―Fiなどの無線回線です。金曜日の夜10時。早く家に帰りたいのにある書類を月曜の朝までに出せと言われた。そんな時、「使える資料があのホームページにあった。あそこから持ってこよう」。彼が扱っているのはクローズ系。だが、オープン系で使うUSBメモリーをクローズ系に差し込むことは禁じられている。そこでクローズ系のパソコンのWi―Fiをオンにしてインターネットにつなぐ。ウイルスが飛び交う外の世界に扉を開けてしまうのですね。

 ――インターネットとつないでしまえば、クローズした意味がないですね

 さらに怖いのは、「クローズ系はネットとつながっていないから大丈夫」という思い込みですね。オープン系は危ないと思っているので、ウイルス対策ソフトを入れるし、パターンファイルも必ずもらえる。でも、クローズ系は安心感があって、ウイルス対策ソフトを導入していないことがほとんど。ネットとつながっていないから、基本ソフト(OS)のアップデートも受けられない。

 ――ほかに弱点は

 システムそのものの欠陥ではないのですが、組織内部の不心得者が故意に差し込む場合ですね。「裏切られたら終わり」ということです。三つのリスクのいずれかが現実となった例がイランのスタクスネット事件だと思っています。最も危ないのは、自覚なしにコンピューターと向き合う「人間」という存在なのです。

    ◇

 伊東さんは陸上自衛隊OB。陸自が独自に設置したサイバー戦専門部隊「システム防護隊」の初代隊長を務めた後、2007年3月に退官。「第5の戦場 サイバー戦の脅威」(祥伝社)も著したサイバー戦研究の第一人者です。

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