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2013年1月9日03時00分
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〈サイバー戦専門家に聞く:3〉弾薬が小麦に変わる

写真:ラック社のサイバーセキュリティ研究所長、伊東寛さん=東京都千代田区拡大ラック社のサイバーセキュリティ研究所長、伊東寛さん=東京都千代田区

 【佐々木康之】ポケットにはスマートフォン。オフィスへ行ってまず開くのはパソコン。その背後にある危険とは――。情報セキュリティー会社ラック(東京)のサイバーセキュリティ研究所長・伊東寛さんに、ソーシャルメディアに潜む落とし穴、その先に待つサイバー攻撃の脅威などについて聞いた3回目です。

特集:ビリオメディア

     ◇

 ――サイバー攻撃を受けた末に想定される事態を挙げてください

 例えば、航空管制システムを攻撃して、航空機の実際の位置と異なる位置を管制塔のレーダー画面に映せば、誤った誘導の末に事故が起きるかもしれない。

 ――軍事的に同様の事例はありますか

 2007年にイスラエルの戦闘機がシリアのある施設を爆撃した際、戦闘機はシリアの防空システムに探知されなかったといいます。管制システムと防空システムは似通っている。(1)レーダーと対空戦闘指揮所の通信回線に割り込みデータを改ざんした(2)コンピューターの画面表示プログラムを攻撃し、対空目標が映らないようにした(3)レーダーの敵味方識別装置を攻撃し、機能しないようにした――イスラエルがこのようなサイバー攻撃を仕掛けたのではないかという推測があります。

 ――敵の電波の周波特性を調べ、妨害電波を出して指揮や索敵を攪乱(かくらん)する戦術があります。こうした電子戦が担った役割をサイバー戦が受け持つということでしょうか

 「ニアリー・イコール」です。サイバー戦は電子戦の拡張だと考えた方がいいかもしれません。電子戦の攻撃対象は電波でしたが、サイバー戦は軍の中枢であるコンピューターです。電波だけでなく、システムのプログラムやデータそのものが攻撃の対象になるわけです。「100キロの弾薬を頼んだら100キロの小麦が届いた」「1万トンの原油が保管してあるはずの燃料庫に、1リットルしかなかった」という事態が起こりかねない。

 ――09年の米議会報告書は、米軍の兵站(へいたん)を管理するNIPRNetが攻撃されたと指摘していました

 オープン系への攻撃ですね。どんなに高い塀を作っていても、1カ所でも低いところがあればそこから入る。攻撃側が軍のシステムを見て、戦闘正面は高い塀かもしれないけど、兵站はすごく塀が低くて、兵站を支えている民間企業はさらに低いと判断すれば、当然低い所から入ろうと考えるわけです。サイバー空間の一番弱いところを攻撃すればいい。

    ◇

 伊東さんは陸上自衛隊OB。陸自が独自に設置したサイバー戦専門部隊「システム防護隊」の初代隊長を務めた後、2007年3月に退官。「第5の戦場 サイバー戦の脅威」(祥伝社)も著したサイバー戦研究の第一人者です。

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