|
|
確率は数百〜数万年に1度といわれるが、ひとたび発生すれば大きな被害が懸念される内陸直下型地震。その原因となる活断層帯は道内でも複数確認されている。人口集積地の札幌市周辺でも、過去に強い揺れに襲われた痕跡がみられ、入念な備えが求められている。
道内には国の調査で活断層が10カ所あることが分かっている。その多くが南北に延びている。
道内の下に潜り込む太平洋プレートと、日本海側から東進する陸側プレートの影響で、内陸にエネルギーが蓄積されている格好だ。こうした活断層では、マグニチュード(M)7以上で震源の深さ20キロ以内の浅い地震が想定される。
道内では古文書などの記録に残る地震は少なく、地形や地質から活断層の活動が解析されてきた。1995年から道が着手した調査結果をもとに、国の地震調査研究推進本部が活断層の長期評価をまとめている。
地震発生確率が高いのは、道北の豊富町から天塩町の長さ44キロにわたるサロベツ断層帯だ。M7.6程度が想定され、30年以内の発生確率は最大4%。道南の寿都町から黒松内町、長万部町に至る黒松内低地断層帯(長さ34キロ)はM7.3以上で最大5%。このほか、当別断層と函館平野西縁、増毛山地東縁、十勝平野、石狩低地東縁の各断層帯が、国内ではやや確率が高いグループに入る。
■揺れが広範囲に
断層から離れているから揺れが小さいとは限らない。
道内の大地は、全体的に活断層の上を地層が堆積(たいせき)しているところが多い。例えれば、活断層の上に柔らかいクッションがかぶさっている状態で、そのクッションを通じて振動が広範囲に伝わりやすい。特に札幌や帯広平野、石狩低地や苫小牧などが厚く、道立総合研究機構地質研究所の田近淳・地域地質部長(災害地質学)は「いざ地震が発生すると、揺れはより増幅される」と警戒を促している。
人口が集積する札幌市周辺には明確な活断層はないが、市やその周辺部の遺跡調査で各地に液状化痕が見つかった。液状化は、強い地震動があった場合に起きる現象で、過去に札幌でも強い揺れがあった可能性が示唆された。地層の重なりからみて、専門家は、数千年間に4回の強い揺れに見舞われたと指摘する。
札幌市防災会議は、2010年の地域防災計画で新たな被害想定を出す際、市内に三つの「隠れた活断層(伏在活断層)」があると設定。堆積層が3〜5キロあるため、独自の被害想定で最大震度7を観測し、最悪の場合、市内で木造住宅3万3千棟が全壊するとみている。
■津波対策を重視
東日本大震災以降、道が最優先課題に掲げるのは津波対策だ。
太平洋沿岸にある38市町の津波浸水被害予測を6月に公表、津波の高さは最大で34.6メートルに及び、19市町が10メートル以上の津波に襲われる可能性を指摘した。こうした中、被害が想定される自治体の防災計画見直しを支援しながら、日本海、オホーツク海沿岸地域の対策にも取り組む方針だ。
道が公表している現在の防災計画では、最大震度が7〜6強となる地震で最悪の事態が見込まれるのは、札幌市の「隠れた活断層」を想定したもので、道内の木造住宅約4万4千棟が全壊、死傷者数は約3万4千人にのぼると見られている。(熊井洋美)