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東海地方の活断層の特徴と、その地震にどう備えるか――。名古屋大学減災連携研究センターで活断層を専門に研究する鈴木康弘教授に聞いた。
【特集】足元の活断層 災害大国迫る危機――特徴と注意点は。
この地方は密集地帯です。国内に約1500確認されている活断層の約20%が集まっています。それも、大規模な地震を起こし得るものが多い。逆断層も横ずれ断層もある。明治時代には、内陸では日本最大級のマグニチュード(M)8を記録した濃尾地震も起きています。
大規模な長い断層は特に注意が必要です。中央防災会議が発表している予測震度や被害予測を確認しておく必要があります。都市に近ければ、阪神大震災のような都市直下型地震を起こすことも考えられます。
――自治体などがすぐにでもとるべき対策は。
活断層の位置を詳しく知らせて、どのような被害が起きるかを皆で考える下地を作ることです。位置を知らなければ何も始まりません。「分からないこともあって絶対に正しい情報だとは言い切れない」とか、「地価に影響が出る」などの理由で知らせることを躊躇(ちゅうちょ)するケースもあるようですが、それは間違いです。
岐阜、三重両県は詳細な活断層図を作ってインターネットで公開しています。全国的にも先進的で、県民のことを考えた取り組みです。三重県はさらに、この図を重要構造物の建設などの際に活用するよう県下の市町に通達しています。
――でも、建物の移動などは難しいのでは。
難しいと決めつけず、意識しておくことが大事です。そうすれば、建て替えなどの機会を逃すことがありません。それより、学校や病院が活断層上にあることをどう考えるかが重要です。まずとるべきは、万が一の時に取り返しがつかなくなることを絶対に避けるための方策です。後悔しないために、命を最優先に考えて動くということです。
――海外には活断層近くの土地利用を法で制限する仕組みもあるようです。
東日本大震災の発生と被害は、予測できなかったわけではありません。想定しようとしなかっただけです。そのために原発事故まで起こしてしまった。まだまだ災害を想定する厳しさが足りません。予見できながら手を下さなかった場合の管理責任が重いことを、いま一度、肝に銘じるべきです。それだけでも社会は変わると思います。
東京大学の目黒公郎教授の試算では、国内で活断層から200メートル以内に住む人口は約290万人。これからの人口減少を考えたら、居住地移転を進めることは十分に可能な数だと言われています。
兵庫県西宮市や神奈川県横須賀市の一部では、すでに活断層直上の土地利用制限があります。福岡市は条例を作り、活断層周辺で新たに建てる建物の耐震基準を高めました。また、大規模な活断層が通る自治体では、活断層上の土地利用規制を考え始め、大阪市内を走る上町断層付近では、民間建築会社が自主的に強い揺れを考慮するようになったと聞いています。
要は地震を待つか、その前に手を打つかです。行政任せにせず、市民が賢くなることも重要です。行動に迷ったら、シンプルに防災の原点に立ち返って下さい。何より大切なもの、失って最も後悔するもの、それは財産ではありません。間違いなく命です。(長谷川潤)
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鈴木康弘(すずき・やすひろ) 愛知県岡崎市出身。専門は活断層、変動地形学。各地で活断層の調査を進めるかたわら、直下型地震への備えを訴える。再稼働問題で揺れた関西電力大飯原発については、敷地内に活断層が存在する可能性を指摘した。
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■東海地方の活断層を調べるには
静岡県
http://www.e-quakes.pref.shizuoka.jp/topics/katsudansou/index.html
愛知県
http://www.quake-learning.pref.aichi.jp/pdf/atlas.pdf
岐阜県
http://www.pref.gifu.lg.jp/bosai-bohan/bosai/shizensaigai/shinsai/katsudanso.html
三重県
http://www.bosaimie.jp/mhc00.html(北勢地域)
http://www.bosaimie.jp/mhd00.html(中南勢地域)
http://www.bosaimie.jp/mhe00.html(伊賀・東紀州地域)