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2012年9月1日1時19分

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校舎移転、地域ぐるみ避難訓練 三重・河原田小

写真:河原田小学校と四日市断層河原田小学校と四日市断層

 「活断層の密集地帯」と言われる東海地方には、生活の身近な場所に活断層がある。三重県四日市市でこの春に完成した市立河原田小学校の新校舎は、本来建てる予定だった場所の地下に活断層があることが分かり、位置を変更した。

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 河原田小の旧校舎は、北側と南側の2棟が廊下でつながった「工」の字のような形。2007年、四日市市教育委員会が北側の校舎を改築するために地質を調べたところ、敷地の東西で地層に大きな違いがあることがわかった。

 前年に三重県が公表した2万5千分の1の縮尺の活断層図で、学校のそばを断層が通っているとされていたこともあり、市教委は専門家に詳細な調査を依頼。翌年には北側と南側の2棟の真下を四日市断層が通っていることが分かった。

 市教委は当初の計画を断念。2棟とも取り壊し、運動場だった東側の敷地に、新たに4階建ての1棟を建てることにした。総事業費は当初のほぼ2倍の約9億円までふくらんだ。市教委教育施設課の担当者は「活断層までは注意していなかった」と打ち明ける。

 旧校舎を取り壊した西側の敷地では現在、重機が土ぼこりを上げながら運動場の整備を進める。

 活断層の発見は地域を驚かせたが、それまでの備えを見直す機会にもなった。

 河原田小では、活断層による地震が起きた時には、約1キロ離れた県立四日市農芸高校まで二次避難することにした。一方、震源が海側で津波の恐れがある時には、運動場で安否を確認したあと、校舎の4階に避難することにし、地震のケースごとにそれぞれ具体的な対応を決めた。昨年9月には、初めて地域の自治会や高校と合同の避難訓練を実施。児童ら全員が約15分かけて高校まで歩いた。

 鈴木忠彦校長は、始業式やPTA総会などでたびたび活断層に触れ、児童や保護者にいざという時の素早い避難を呼びかけている。「教員は危機感を持って防災教育に取り組んでいる。活断層の存在は、子どもたちがより真剣に自分の命を守るための行動を考えるきっかけになった」と話す。

 自治会も活断層の発見後、専門家らを招いた防災講演会を開いた。高齢者の多い地域でいかに迅速に避難するか。役所や学校関係者らを巻き込んだ避難計画の検討が進む。地区の連合自治会長を務める宮田勉さん(79)は「住民の意識が高いうちに地震への備えを進めたい」と意気込む。(宋光祐)

■リスク周知へ詳細地図公開も 東海各県

 東海地方の各県は、県内の活断層の位置を示した地図を作り、ホームページなどで公開している。三重県防災企画・地域支援課の担当者は「阪神大震災が起きるまでは活断層の存在がほとんど知られておらず、大きな被害が出た。身近にあるリスクを県民にまず知ってもらいたい」と話す。

 岐阜県は10年に2万5千分の1の活断層図を作製。東日本大震災のあった昨年3月には、ホームページでの閲覧数が1カ月で約3400件に上った。県防災課の担当者は「県民の不安をあおるのではと心配したが、苦情はなかった。被害を減らすためには詳細で正しい情報を出す必要がある」と語る。

 愛知県も97年、活断層の位置を示した「活断層アトラス」を作った。ただ、縮尺は10万分の1が基本で、活断層が多く存在している県西部や都市部の縮尺も5万分の1にとどまっている。同県は来年6月に主な地震の被害想定を改める予定で、県防災危機管理課の担当者は「想定を知ってもらうために、より詳細な活断層図を作ることも考えたい」としている。

 静岡県は10年3月、富士川河口断層帯の近くにある役所や学校、県道などを記した地図を作製。地元の自治体と情報を共有している。県危機政策課の担当者は「位置を明らかにしておけば、すぐに移転できなくても、将来建て替える必要が出た時に断層の上を避けることができる」と話した。(宋光祐)

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