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2012年12月2日0時9分
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大地震と連動警戒 富士・御岳・焼岳、監視続く 東海

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 【宋光祐】世界の活火山の1割が集まる日本。東海4県には、気象庁の諮問機関の火山噴火予知連絡会が「監視・観測体制の充実が必要」だとしている火山・火山群が六つある。過去には巨大地震の後に火山が噴火した例もあり、東日本大震災が起きた今、火山災害への備えも迫られている。

 静岡、山梨、神奈川の3県は今年6月、国や自治体でつくる「富士山火山防災対策協議会」を発足させた。今年度中に広域避難計画を策定し、2014年度には合同避難訓練の実施をめざす。

 広大な観光地を抱え、風評被害を恐れて語ることがタブー視されてきた富士山(標高3776メートル)の噴火。それに備えて県境を越えた対策組織ができるのは初めてだ。

 富士山が最後に噴火したのは1707年。噴火地点に近い村は壊滅状態になった。宝永噴火と呼ばれるこの噴火は、実は南海トラフを震源域とする宝永地震の49日後だった。

 昨年の東日本大震災の4日後には、富士山直下でマグニチュード(M)6.4の地震が発生。その後、地震活動は低下したが、国は東日本大震災で火山噴火が誘発する可能性もあるとして、自治体などに火山による広域災害に備える体制づくりを要請した。8月末に内閣府の有識者会議が被害想定を示した南海トラフ巨大地震が実際に起きれば、地震に伴って噴火が起きることも懸念される。

 岐阜県には、気象庁の常時観測の対象になっている火山が計四つある。このうち近年に噴火したのは、御岳山(おんたけさん=3067メートル)と焼岳(やけだけ=2455メートル)だ。

 御岳山は1979年に有史以来初めて噴火した。91年と07年にも小規模な噴火をおこした。84年の長野県西部地震(M6.8)では、大規模な山体崩壊が発生。岩屑(がんせつ)なだれが下流の村に達し、29人が犠牲になった。火山の山肌はもろい火山噴出物が堆積(たいせき)して崩壊しやすいため、噴火以外にもこうした危険性が潜む。

 焼岳は、数千年〜千数百年の間隔でマグマの噴出を繰り返している。

 62年の噴火では火口付近の山小屋に噴石が飛び、2人が負傷。95年2月には、山頂の南東約3キロにある安房トンネル建設に伴う国道の工事現場で水蒸気爆発が起きた。火山ガスを含む水蒸気と6千立方メートルを超す土砂が噴き出し、作業員4人が亡くなった。岐阜県側には奥飛騨温泉郷、長野県側には上高地という観光地があり、両県や地元自治体は観光客をどう逃がすか難しい対策を迫られている。

 気象庁は、これらの火山に地震計や傾斜計、遠望カメラなどを設置し、24時間体制で監視を続けている。07年には新たに、火山活動の活発さを5段階で示す「噴火警戒レベル」を導入。「避難」「入山規制」など自治体が取るべき対応を明確にした。県や自治体はレベルごとに行動計画をつくる必要がある。

■降灰、交通・作物に被害

 火山が大噴火すれば、被害はふもとだけではすまない。噴煙となった火山灰が風に乗って広がり、広い範囲で交通網や農林水産物などに被害を及ぼす。

 内閣府が2002年にまとめた富士山の被害想定によると、宝永並みの噴火が起きた時の経済被害は最大2兆5千億円。火山灰は東名高速や新東名高速、東海道新幹線が通る地域にも2〜10センチ積もるとされる。

 鉄道では、線路に灰が積もると電流がうまく流れなかったり、踏切に障害が出たりする恐れがあり、内閣府は、関東や東海地方の一部を中心に総延長約1800キロで被害が出ると試算している。

 00年に噴火した北海道・有珠山(うすざん)のケースでは、乾燥時に2センチの灰が積もると車はスリップし走れなくなった。また、航空機のエンジンは火山灰に弱いため、降灰が広い範囲に及べば空路にも影響が出る。交通が寸断されると、富士山や御岳山、焼岳など火山による直接的な被害が少ない愛知や三重県でも、物流などに影響が出る可能性が高い。

 数万年に1回のカルデラ噴火と呼ばれる超巨大噴火では、火山灰は日本各地に降り積もる。約7300年前に九州・屋久島近くの海中で起きた噴火では、東海地方でも灰が降ったとみられる。

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