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2012年9月1日1時18分
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暮らす、断層に立つこの街 大阪・上町断層帯

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写真:右手前から左奥へと南北に延びる阪神高速1号環状線に沿って走る上町断層帯付近。右奥は大阪城=31日、大阪市中央区、朝日新聞社ヘリから、高橋正徳撮影拡大右手前から左奥へと南北に延びる阪神高速1号環状線に沿って走る上町断層帯付近。右奥は大阪城=31日、大阪市中央区、朝日新聞社ヘリから、高橋正徳撮影

図:上町断層帯の地図拡大上町断層帯の地図

 大阪市中心部を貫く上町(うえまち)断層帯は、ほかに例がないほど人口密集地の直下にある活断層だ。その東側にある上町台地を、京大防災研究所の岩田知孝教授(強震動地震学)と歩いた。

【特集】足元の活断層 災害大国迫る危機

 岩田教授は、文部科学省から委託を受け、京大大学院理学研究科や産業技術総合研究所と実施中の上町断層帯の調査プロジェクトの代表を務める。

 「上町断層帯は東側が隆起する逆断層。その活動で出来たのが、上町台地です」と岩田教授が教えてくれた。上町台地にある大阪城公園付近から西へ向かうと、下り坂になっているのがわかる。ざっとビル3階分ほど違う場所もある。

 付近には国の出先機関が入る合同庁舎や大阪府庁、大阪府警もある。まさに大阪の中枢だ。厚い堆積(たいせき)層に覆われている大阪平野の中で、台地付近は硬い基盤岩が地表近くまで盛り上がっており、「しっかりした地盤なので、大規模な建物が建てやすかったのだろう」という。

 国土地理院の「都市圏活断層図」によると、断層は台地西側の阪神高速道路1号環状線とほぼ重なる。西側は医薬品会社や証券会社も並ぶビジネス街で、超高層マンションも立つ。

 「断層のそばの高速道路やビルは大丈夫ですか?」と質問すると、「近いから危険だとは限らない」と岩田教授。逆断層である上町断層帯の断層面は、東側が深くなるように傾斜している。地震は地中深くで起きるので、震源は上町台地から離れた東側になるという。「軟らかい堆積層は揺れやすい。断層西側にも強い揺れが起きる可能性が高い」

 さらに府内には古い木造住宅の密集地域もある。国が重点的に改善すべきだとする密集市街地が、約2300ヘクタールと東京都に次いで多く、特に断層東側の大阪市生野区・城東区・東成区・阿倍野区に集中している。

 上町断層帯はこれまで8千年間隔で活動するとされ、最近地震が起きたのは少なくとも9千年以上前と見られていた。岩田教授たちのグループでは、2500年ほど前に動いたらしい痕跡があると指摘している。

 「それなら危険性は下がって一安心といえるのでは?」と岩田教授に聞くと、「最近の活動が確認できたのは北部の1カ所。今年度、別の場所を調査する。断層帯の一部が動いても強い揺れに襲われる。過度な安心はしないで、必要な備えをしてほしい」と話していた。(角谷陽子)

     ◇

 〈上町断層帯〉 大阪平野を南北に走り、長さは約42キロ。国の中央防災会議の2007年の想定ではマグニチュード(M)7.6の地震が発生し、大阪平野全域が震度6強、大阪市の一部では震度7の揺れに襲われる。木造住宅が密集した市街地で97万棟が全壊・全焼。首都直下地震の被害想定の3倍を超える計4万2千人が死亡する。負傷者は22万人に上る、としている。地震調査研究推進本部(地震本部)によると、30年以内の地震発生確率は最大3%と高い部類に入る。

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