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地震を起こす可能性が今後30年で最大6%と、九州で最も高いとされる警固(けご)断層。地下に隠れた断層も、実際に歩くと、所々で断層の輪郭が垣間見える。
博多港の岸壁から北西を見ると、玄界島がかすんで見えた。2005年3月の福岡沖地震の震源近くにあり、大きな被害が出た島だ。取材で訪れた時に見た、島全体が崩れたかのような光景は、7年たった今も鮮明に覚えている。
その後の調査で、地震は警固断層帯がずれて起きたことが分かり、陸地の地下にある警固断層に一気に注目が集まった。
繁華街の大名地区。7年前に取材した時は屋根瓦が落ち、倒れたりひびが入っていたりしたコンクリート塀が目立った。今はその面影は消えているが、よく見ると、壁に亀裂が入っていたり塀がずれていたりする所もあった。
福岡市南区の西鉄高宮駅から100メートルほど天神寄りは、薬院新川を挟んで西側が小高い丘。西側が東側に比べて隆起しているのが見て取れる。断層が地表に露出している場所が少ないうえ都市化が進み、どこを走っているかわからない警固断層だが、ここは「ずれ」が何となくわかる。
西鉄薬院駅から大橋駅まで、天神大牟田線の線路はほぼ警固断層の真上を通っている。なぜ断層と線路がこうまで一致しているのか。西鉄広報室は「理由はよく分からないが、土地が開けていて昔から主要な道が走っていた所に線路を通したのでは」。敷設された大正時代には警固断層の存在すらつかめていなかった可能性が高い。西鉄は耐震強化のため、線路を支える高架の柱の補強工事をしている。
春日市。断層のすぐ東側にある九州大筑紫キャンパスの地下80メートルには、断層のわずかな動きを捉える高感度地震計がある。九大地震火山観測研究センターが設けているもので、このほか断層近くに二つ設置している。
北部より福岡市以南の方が揺れると指摘する専門家もいる。筑紫野市は揺れやすさや倒壊しやすい建物の場所を載せたハザードマップを作り、今年、市内全戸に配った。大野城市や太宰府市は警固断層の位置を示した防災地図を全戸に配布した。独自のハザードマップは作っていない。(斎藤徹)
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警固断層を歩いて感じたのは、断層の存在を知りつつもすぐに対策を取らなくても構わないという意識が、周辺住民や自治体に根強いことだ。断層の真上にいる人に尋ねると、その存在を知らないという声すら聞かれた。だが、東日本大震災は社会や人々が定めた「想定」を超える事態がひとたび起きれば、深刻な被害を招くことを示した。その惨状が生々しく思い出されるうちに、近い将来起こる大地震は「想定内」だという意識を社会で共有し、しっかりと対策を取ることが大切だ。(斎藤徹)