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2012年9月1日4時12分

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北上川沿い活断層危険 斎藤徳美・岩手大名誉教授に聞く

写真:斎藤徳美名誉教授=岩手大学内の放送大学岩手学習センター斎藤徳美名誉教授=岩手大学内の放送大学岩手学習センター

 地震の危険性は内陸にもある。地震を引き起こす活断層について、県内の調査をしてきた斎藤徳美・岩手大学名誉教授(防災工学)に聞いた。

――県内の活断層で危険なのは

 まず「北上低地西縁断層帯」。北上川沿いの住人や産業が集まる場所で、地震が起きると被害は大きい。最近活動した「雫石盆地西縁断層帯」の北側や秋田県境近くの「川舟断層」は当分は大丈夫。県北の「折爪断層帯」は実態がよくわかっていない。

――北上低地西縁断層帯とは

 和賀川を境に北側を「花巻断層帯」、南側を「出店(でたな)断層帯」としている。二つが一連の断層なのか立証はない。仮に連動すれば、局地的に震度7の地震を起こすともされる。北側は周期が3800〜2万3千年と非常に広い範囲しか判明していないが、予測されるマグニチュード(M)は7.4。新幹線や高速道路を巻き込めば、一気に被害は広がる。南側の周期は不明だ。

――活断層から地震を予測するのは可能なのか

 地形に明らかなズレがあれば、活断層を探し出して危険性を予測できるが、費用と時間が必要。4年前の「岩手・宮城内陸地震」は地表にズレがなく、活断層が知られていない場所で起きた。極論を言うと、日本列島を丸裸にして地表すべてを調べないと、危険な活断層はわからない。正確な予測は不可能。特にM9の巨大地震が発生して、今、日本列島にかかる力のバランスが崩れている。どんな影響が出るか気がかりだ。

――対策は

 まずは災害時に命を守り、安全をいかに確保するかという危機管理。いつ来るかわからないという甘えではなく、大震災を踏まえ、非常時の態勢を見直す必要がある。

――岩手でできることは

 沿岸の支援基地となった遠野市のように、大規模災害時に被害を受けない地域が支援するネットワークを確立するべきです。

 さらに地震に対して強い町づくりを進める。北上川沿いの若い時代に堆積(たいせき)した地盤は弱く、防災施設をより強固にする必要がある。一般住宅も、耐震技術を取り込めば、50年後には地域のほとんどの家が建て替わる。ほかに燃えにくい街路樹を植える、延焼しない広い避難路を確保するなど。起きたときの危機管理と、長期的に見て災害に強い町づくり。この二つが地震から安全を守る術となる。(聞き手・国吉美香)

     ◇

 斎藤徳美(さいとう・とくみ)さん 放送大学岩手学習センター所長、岩手大学名誉教授。1995〜97年、阪神淡路大震災後の全国的な活断層調査において、岩手県で県活断層調査委員長を務める。現在は県東日本大震災津波復興委員会の総合企画専門委員長。

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