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1:戻れぬ道 1億台一新 猶予8年
□ □ 日本でテレビ放送が始まって半世紀の今年、テレビはアナログからデジタルへ、戻ることのない一歩を踏み出す。 これまでのCS/BSデジタル放送は、お金を使い機器を調えた人たちへの、付加価値放送だった。地上デジタル放送は違う。日本にあるテレビは約1億台。何もしないとそのほとんどが、約8年後に見られなくなる。見続けるには、テレビを買い替えるか、チューナーを付けるなど、地上デジタル放送に対応しなくてはならない。 東京・秋葉原の大型電器店にテレビ買い替えの下見に来た東京都杉並区の30代の夫婦は「画質を優先したいけど、地上デジタル対応型だと予算を超えてしまう。安くなるまでもう2、3年待ちます」と店を後にした。 人気のプラズマテレビで42インチの場合、地上デジタル対応型は60万円台が目立つ。24日午後、電器店内に並んだテレビは、地上デジタルの試験放送の風景映像を画面に映し出していた。 □ □ アナログテレビは、画面の「表側」を見るだけだった。地上デジタルテレビで、視聴者は画面の「裏側」に放送局が蓄えた情報を、欲しいときに取り出せるようになる。 例えばニュースや天気予報、地域情報などがデータ放送でいつでも見られる。料理番組のレシピなどのデータを呼び出すこともできる。NHK名古屋放送局は独自に、名古屋市内の休日・夜間診療所などの地域情報を提供する予定だ。 テレビの番組表を1週間先まで画面に呼び出すEPG(電子番組ガイド)を使い、詳しい番組内容を調べたり、放送時間の急な変更に対応する録画予約ができたりする。 番組への視聴者の思いも、電話線やブロードバンドを通して放送局に返せるようになる。NHKは紅白歌合戦で、視聴者による「お茶の間デジタル審査」を計画するなど、様々な双方向サービスを予定している。 海老沢勝二NHK会長は「デジタル化は世界の潮流。公共放送として、普及のために先導的な役割を果たす」と話す。 □ □ 民放はどうか。00年12月に始めたBSデジタル放送で、民放も双方向サービスのノウハウを蓄積してきた。しかし、同サービスを展開するBS−i(TBS系)によると、利用しているのはBS放送視聴者の1割程度とみられる。 徐々に浸透しつつあるものの、双方向サービスは、システム維持や顧客の登録、管理など費用がかかり、採算がとれるに至っていない。民放は「BSで勉強した。まずは様子を見させていただく」(石川順一・フジテレビコーポレート戦略室長)という。ニュースや天気予報、スポーツ関連のデータ放送は実施するものの、双方向サービスにまで踏み出す局は、当面なさそうだ。 ◇ 地上デジタル放送が関東、中京、近畿の一部から始まる。テレビはどこへ行こうとしているのか。私たちの暮らしも、テレビとともに変わっていくのだろうか。
(03/11/25)
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