|
地上波デジタル放送が始まると、本格的なカーテレビ時代がやって来るかも知れない。車の中でも現在のアナログ波を受信するテレビ以上の鮮明な画像が見られることが、NHKの実験で確かめられた。自動車メーカーは対応車種の開発に取り組んでいる。
実験したのはNHK放送技術研究所(東京都世田谷区)。研究所の屋上のアンテナから、サッカー番組をデジタル波と現行アナログ波の両方で放送し、実験車にのせたテレビで映り具合を比べた。
運転席の後ろに薄型液晶テレビが2台。住宅地の道路に走り出ると、アナログテレビはすぐに画像が激しく乱れ始めた。一方、デジタルテレビは高架下やビルのそばを走っても、高精細画面が乱れず、選手やボールの動きもよく見える。
「画質が維持できるのは、いまのところ時速約80キロが限界。でも技術が進めば、100キロを超す高速でも同等に受信できるようになるでしょう」と研究員。実験のビデオは最近、延べ3万人近くが訪れた同研究所の技術展示会で披露され、自動車、家電業界の技術者らの注目を集めた。
地上波デジタル放送は12月から東京や名古屋、関西で始まる。11年までに全国に普及し、現在のアナログ放送にとってかわる。
移動する受信機向けの放送は目玉の一つだ。しかし、携帯電話や携帯情報端末向けは技術の特許使用料問題が壁になり、サービス開始のめどが立っていない。カーテレビについてはそうした問題はない。
自動車業界は次世代の車づくりの基本戦略として、情報ネットワークに車を組み込む計画を進めている。日産自動車の技術担当者は「地上波デジタル対応車種の発売時期は決まっていないが、家庭のテレビがアナログからデジタルに移行していくのと同じペースで普及していくのではないか」と予想する。
どんな地形でも確実に電波を受けるためには4本のアンテナが必要だ。ある大手自動車メーカーは、窓ガラスにアンテナを埋め込むといった方法を検討する。だが、コスト面などに課題があり、12月の放送開始には間に合わない。
「地上波デジタル放送が見られるのは当面、東京、名古屋、関西だけ。その地域を出たとたんに見えなくなる。需要はまだ読めないが、当社もデジタル化への期待は高い」と担当者は話す。
高画質カーテレビが普及すると、「見ながら運転」につながるおそれはないだろうか。
カーナビゲーションにもテレビ機能があり、道交法は運転者が走行中に画面を注視することを禁じている。日本自動車工業会は「業界の申し合わせで、カーナビのテレビ機能は走行中には使用できない構造になっている」と説明する。
しかし、配線などをいじれば見られるようにできるといわれ、国土交通省は自動車メーカーや家電メーカーに対し、カーナビ使用者に「不正な改造は絶対に行わないで」と周知するよう要請している。
(06/20 00:24)
|