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12月1日の地上デジタル放送開始を間近に控え、衛星放送業界が視聴者獲得を急いでいる。これまで普及のペースが上がらなかったが、地上デジタルと一緒に見られるテレビが年末商戦に向けて次々と発売されるため、追い風になると判断した。番組の伝送路を「宇宙」の衛星だけにこだわらず、「地下」の光ファイバー回線を使う事業構造の転換も始まった。
●年末商戦の目玉
東京・有楽町の家電量販店、ビックカメラ。「12月に始まる新放送が見られるのは、どのテレビですか」。テレビ売り場に来る客の半分がこう質問するという。年末商戦の目玉は、地上デジタルに対応した、液晶やPDP(プラズマ・ディスプレー・パネル)画面の薄型テレビ。まだ年末商戦の前哨戦だが、販売担当者によると、売れ行きは前年同期比で2倍近い。
●全国で80万台
地上デジタル対応テレビの多くは、BSデジタル、110度CSも受信できる。地上デジタルへの関心の高まりに乗ろうと、BSデジタル放送8局、110度CSデジタル放送58社が、それぞれ1日にキャンペーンを開始。BSデジタルでは計100本の映画を流し、110度CSではアンテナ新設で料金を割り引くなど、従来にない盛り上がりだ。
衛星放送のWOWOWは10月から独自策も導入。家電大手5社の系列販売店7千〜8千店で、地上デジタル、BSデジタル、110度CSの3放送受信テレビを購入した人がWOWOWの視聴を申し込むと、加入料と視聴料(1〜3カ月分)を無料にした。
同社の吉永弘幸常務は「WOWOWは加入者獲得にメーカーの流通網を借りられる。メーカーは、WOWOWの番組が高価格の薄型テレビの販売促進に役立つ」と説明する。業界では、3放送受信テレビが今年度末までに国内で合計80万台売れるとの見方が強い。
●「ソフト勝負」
これまで衛星放送は苦しい局面が続いていた。BSデジタルと110度CSを直接受信するには、アンテナを取り付ける必要があるからだ。衛星放送をよく知らない消費者に、手間と費用をかけてもらうのは難しい。
BSデジタルでは当初、放送局や家電メーカーが普及目標を「1千日で1千万世帯」と掲げた。しかし、NHKの調査によると、放送開始から3年近くたつ10月末で466万世帯。110度CSではスカパーが6万件。WOWOWは02年1月末時点の270万件をピークに249万件まで減っている。
3放送受信テレビが登場しても、このアンテナの問題が残る。それを克服するため、スカパーはNTT東日本の光ファイバー回線を使って番組を配信することで、視聴者宅のアンテナを不要にする仕組みを考案した。
NTTが他事業者に貸し出しを義務づけられた光ファイバー網を低コストで活用するものだ。子会社のオプティキャストが12月、東京都中央区のマンションを皮切りにこのサービスを始める。
スカパーの重村一社長は「視聴者にとって必要なのはソフト(番組)であって、伝送路が衛星でも光ファイバーでも関係ない。これからはソフトの勝負になる」と語り、衛星放送の枠にとらわれた発想では生き残れないとみる。
【衛星放送】BS(放送衛星)放送とCS(通信衛星)放送がある。CS放送は、東経124度と128度の上空にあるCSを両方使うタイプと、同110度の2種類。BSデジタル放送はNHKや民放キー局系5社などが放送する。110度CSの仕組みは、番組提供会社からスカパーなど放送運営会社に番組が送られ、CSに電波が上げられ視聴者に届く。視聴者宅のアンテナを使わずに配信会社がCSからの電波を受信し光ファイバーで視聴者宅に配信するケースもある。
(11/07 09:13)
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