産業技術総合研究所・保原浩明
データで解析するレームのすごさ 動画(2分14秒)

シーン1

(保原) マルクス・レームのすごいところ。それはやはり記録にあります。彼の持っている8メートル40センチという記録。これは北京五輪、ロンドン五輪の男子走り幅跳び金メダリストの記録よりも良いものです。また昨年開催された北京世界陸上の男子走り幅跳び金メダリスト。その記録と1センチしか違いません。つまり彼は名実ともに超一流のアスリートの仲間入りを果たしたということが言えると思います。

インタビューで語る保原研究員

シーン2

(保原) マルクス・レーム選手のデータから見たすごい点についてお話しします。これは横軸に走り幅跳びの踏み切り速度、縦軸に跳躍記録をとっています。過去の超一流選手のデータこれを男子が青、女子がピンクでプロットしてあります。ご覧の通り、踏み切り速度と跳躍記録には正の相関関係が一般的にあると言われています。マルクス・レーム選手は黄色で示してあります。このようにレーム選手は右足が義足であるにもかかわらず、健常者の超一流選手と同様の速度・記録関係を持っています。また同じように跳躍の角度に関しても彼は超一流選手と同じようなデータを有しています。何度も申し上げますが、彼のように右足が義足であるにも関わらず健常者と同じような特性を持っている。これは非常に驚きだと考えています。

スライドの図表を使って説明する保原研究員

シーン3

(保原) 義足の選手が健常者に混ざって五輪に参加できるのかどうか。実は過去にひとつ例があります。それはオスカー・ピストリウスという両足が義足の選手です。彼が五輪に健常者と一緒に参加できるかどうか、このために一番最初に取られた措置が、まず科学的な検証でした。検証の結果、そのデータを元に国際陸上競技連盟は、一度は彼が健常者に混ざって大会に参加することを閉ざしたように見えたんですが、セカンドオピニオン的に別の研究機関で追加の検証実験を行った結果、そのデータを元にスポーツ仲裁裁判所が彼の参加を許可したという、そういう経緯があります。今回の件に関しても、やはり複数の研究機関でマルクス・レーム選手の走り幅跳びのメカニズムを解明して、それを研究者やコーチ、選手そして様々な人を巻き込んで追加で検証していくことが今後必要になってくるのではないかと考えています。

オスカー・ピストリウス選手
=敬称略