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「にしこくん」なぜ人気? 西国分寺の非公式ゆるキャラ

2012年5月30日7時28分

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写真拡大イベント会場で、子どもたちとの写真撮影に大忙しの「にしこくん」=埼玉県久喜市

写真拡大イベント会場でグッズを販売する西尾さん(右)と徳弘さん=埼玉県久喜市

 国分寺ではなく、西国分寺。公式ではなく、非公式。静かな町の地味なキャラクターが、並み居る自治体の公式キャラもしのぐ人気者になっている。生みの親は、地元を愛してやまない2人の若い女性だった。

 20日、埼玉県久喜市のイベント会場に「にしこくん」はいた。地元の史跡から発掘された「あぶみ瓦」をモチーフにしたグレーと黒の顔の下に、にょきっと生えた脚。熊本県の「くまモン」や奈良県の「せんとくん」らのフワフワした着ぐるみと並ぶと、完全に浮いているが、写真を撮りたがる人の列は絶えない。さいたま市の主婦(32)は「こびない感じがいい。ネットで偶然見つけて好きになった」という。

 西国分寺は地名にはない町だ。東京都国分寺市西部にあるJR駅の周辺を指すが、「西国分寺が地元」と思っている人は、府中市民にも国立市民にもいる。大きなビルは少なく、住宅街を少し歩くと静かな散歩道や緑あふれる公園につながる。

 「にしこくん」の生みの親でデザイナーの西尾有未さん(23)は、そんな町で学生時代を過ごした。一昨年秋、卒業を前に「4年間お世話になった町に、なにか残したい」と、散歩道で見つけた「あぶみ瓦」をモチーフにデザイン。西国分寺に住む会社員、徳弘晴菜さん(29)とともに、にしこくんをデビューさせた。

 初めは苦戦した。ストラップなどのグッズを持って地元の商店を回っても、なかなか置いてもらえない。ギョーザ店「とんぼ」の店主、野平直孝さん(35)が快諾してくれた時は涙が出るほどうれしかった。

 「広報でも商売でもなく、ただ好きだからやっている2人を思わず応援したくなった」と野平さん。そんな町の人たちの後押しで、じわじわと人気が出てきた昨年12月。「ゆるキャラグランプリ」に出場すると、ネットで話題になり、人気投票で17万票余りを獲得して3位に躍り出た。以来、知名度は上がり、いまやツイッターのフォロワーは3万人以上。グッズは作るそばから売り切れる。

 人気を支えるのは、「ブーン」という語尾が独特なツイッターのつぶやきだ。「西国(にしこく)はなんにもないようで、なんかあるような不思議なところブーン」。老朽化した駅が改装されると聞けば、「生まれ変わりすぎると、せつないブーン」。町を歩いて感じたことやおいしかった店のことが1日に何度か書き込まれる。

 ゆるキャラが自治体の顔として定着した今、全国のキャラたちは施策の広報や観光誘致に大忙し。国分寺市も公式キャラを制作中だが、にしこくんは「小さな町の非公式な存在」であり続けるつもりだ。

 「なにも背負っていないから、『にしこくん』は感じたままを自由に話せる。そこを好きになってくれる人がいる」。西尾さんは、そう思っている。

 6月3日には国分寺市の武蔵国分寺公園である「地域(まち)たからフェスタ」に登場する。(市川美亜子)

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