性犯罪者の再犯防止策を検討してきた法務省は14日、来年度から刑務所や保護観察所で行う「性犯罪者処遇プログラム」の原案をまとめた。社会に戻った際、自分で再犯を思いとどまる力をつけさせることが目的だ。犯行に至るまでの行動を自己分析させる《性犯罪のプロセス》などの5科目を中心に据えた。再犯の恐れの高さなどに応じて受講科目を決め、最長16カ月余りかけて履修させる。
奈良市で昨年11月に起きた女児誘拐殺害事件をきっかけに、法務省は今年4月、専門家による研究会を立ち上げ、その議論にもとづいて原案をまとめた。
法務省によると、性犯罪者の多くは人とつきあうことが苦手で、「誘いをかけたのは被害者の方だ」「急に冷たくなった」などと誤った思いこみをしているケースが少なくないという。
こうした問題に対応するために5科目の中に設けたのが、別の事件の犯人の言い訳をテーマに議論して思いこみのメカニズムに気づかせる《認知のゆがみ》だ。就職面接の演習などを通じて対人関係を築くトレーニングをする《自己管理と対人関係》、手記やビデオを見聞きする《被害者への共感》といった科目でも立ち直りを支える。
また、犯行に至る行動を分析すると、事件への最初の引き金は「仕事上のストレスがたまった」ことだったりするという。ストレスの処理に困って盛り場に1人で出かけた揚げ句、事件を引き起こすというわけだ。
このため、《再発防止計画》と名付けた科目で、対象者に自分の行動を詳しく分析させ、「仕事上のストレスを避けるにはどうしたらいいか」「ストレスを感じたら、どう対処したら良いか」などを考えさせる。
5科目は、先行しているカナダや英国での「認知行動療法」を参考にした。グループワークや個人指導を組み合わせる。ワークブックを使い、宿題が出ることもある。
受刑者や仮釈放中の保護観察対象者は、現行法にもとづいて受講を義務づける。一方、保護観察付き執行猶予者については、受講を義務づける法律がないため、「受講を強く説得する」という。
法務省によると、対象となる性犯罪者は年間で、刑務所内では約500人、保護観察所では約1200人にのぼるという。
法務省は今回の原案をもとに、今年度中にプログラムを最終決定する。