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津波避難3.8%どまり チリ大地震で指示・勧告の地域

2010年3月9日3時2分

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 南米チリの大地震による津波で避難指示や勧告が出た地域の住民のうち、避難所などで実際に避難が確認された人の割合はピーク時でも3.8%にとどまることが、総務省消防庁のまとめでわかった。把握しきれない避難者もいるとみられるが、06〜07年に津波警報が出た際の避難率よりも大幅に低くなっており、専門家は「第1波が予測より小さかったという情報が、避難しなくてもいいという予断につながったとしたら危険だ」と警告している。

 同庁によると、気象庁が大津波警報と津波警報を発表した地域のうち、市町村長が避難指示や勧告を出したのは20都道県の189市町村。対象人口は約168万人で、このうち市町村が避難所などに避難していることを確認した住民は6万3千人(3.8%)だった。大津波警報の発表地域では平均7.5%だったが、津波警報の地域は平均2.8%だった。

 1万人以上に勧告や指示が出された道県のうち、最も避難率が高かったのは岩手県(対象8万3千人、避難率12.2%)で、次いで北海道(同11万人、同6.8%)▽宮城県(同19.1万人、同6.6%)▽沖縄県(同23.6万人、同5.6%)▽福島県(同1.7万人、同5.5%)――の順だった。

 06年11月と07年1月には、千島列島の地震で北海道と東北地方のいずれも22市町村に津波警報が出たが、消防庁の同様の調査で、避難率はそれぞれ平均13.6%と同8.7%だった。

 岩手県釜石市では今回、大津波警報で全住民の3分の1を超える約1万5千人に避難指示が出たが、避難所で確認できた住民はピーク時でも950人。同市は1896年と1933年の2度にわたって三陸地震による津波で被災しているが、同市の防災担当者は「過去の体験が風化し、個人が独自に判断する傾向が強まっている」と懸念する。

 津波到達までに時間がなければ近くの高い建物などに避難するしかないが、余裕がある時は避難所に逃げることで安否確認も迅速にできる。

 一方で、東京都で唯一避難指示が出た小笠原村では、千人の対象者の半数近くが避難した。同村によると、福祉担当者や消防団員が、要援護者のリストに基づいて、1人では逃げられないお年寄りらを避難させたという。

 片田敏孝・群馬大教授は、避難住民が少なかった点について「ニュース番組などで到達時間や第1波の高さを知り、自分の所は大丈夫と都合のいいように判断してしまう弊害が出た。警報の範囲が広く、津波が遅れて到達する地域で顕著だった」と指摘する。

 また、静岡大学の牛山素行准教授によると「岩手県沿岸部の住民は、明治の三陸地震で津波が標高30メートルもの高さまで駆け上がったことを教えられ、ついその高さと比べてしまい安心する傾向がある」と話す。スマトラ沖大地震の後、この地域の住民を対象に意識調査をした結果、「何メートルの津波で避難するか」という質問に過半数の人が5メートル以上と答えたという。

 牛山准教授は「住民の津波に関する知識は地震や台風に比べて乏しく、正しい知識を普及させる必要がある」と訴える。(大久保泰)

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