6歳の男児が自動回転ドアに挟まれて死亡した東京都港区の大型複合施設「六本木ヒルズ」の施設内で、回転ドアに挟まれたり、ぶつかったりするなどした事故が、オープンした昨年4月から計32件起きていたことがわかった。六本木ヒルズを管理する森ビルが27日夜、記者会見を開いて明らかにした。開業から1年足らずで事故が相次いでいたことから、警視庁は管理上の問題がなかったか、さらに調べる。
森ビルによると、六本木ヒルズには今回の事故と同じ型の大型自動回転ドアが8台、手動の小型回転ドアは37台ある。
大型自動回転ドアの事故は昨年4月から今年2月までの間に計12件あった。うち、今回死亡した大阪府吹田市の溝川涼君と同様に体を挟まれる事故は7件あり、うち3件は救急車で病院に搬送された。いずれも軽傷だったという。
昨年6月には、8歳の男児が首を挟まれて擦り傷を負ったと母親が通報し、男児が病院に搬送されるなど、今回と類似の事故も起きていた。
小型回転ドアでも計20件の事故があった。手や腕を挟まれたケースが18件にのぼるという。
同社は26日の会見で、「同種の事故が2件確認できており、ほかにも1〜2件あったようだ」としていた。ほかの事故の公表が遅れた理由について、同社の森浩生専務は「26日の事故が起きるまで統計を取っていなかった。事故を受けて救護室の記録や事故速報などを調べたり、聞き取り調査をしたりして、初めてまとめた」と説明した。
32件のうち主な事故については、森専務や管理担当役員らに伝えられていたという。有効な対策をとらなかったことについて、森専務は「大きな事故という認識をしていなかった」と話した。
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27日の警視庁の司法解剖で、涼君はドアに挟まれた衝撃で頭部を圧迫され、脳を損傷して死亡したことがわかった。
■六本木ヒルズで同種の大型自動回転ドアにはさまれた事故
発生日 被害者 状況と対応
《03年》
6月 9日 男児(8)「首を挟まれた」と申告。病院へ救急搬送。すり傷など
8月25日 男児 腕を挟まれ救護室で処置。内出血など
11月25日 女児(2)足を挟まれ、病院へ救急搬送。足首に痛み
12月 7日 女児(6)体を挟まれ、病院へ救急搬送。耳の後ろの出血など
12月13日 女児 右足を挟まれ、救護室で処置。腫れ
12月21日 女児 左足を挟まれ、救護室で処置。腫れ
《04年》
2月 1日 女児 左足を挟まれ、救護室で処置。打撲
(※年齢の表記がない事例は年齢不明)
(03/28 00:09)
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