大型複合施設「六本木ヒルズ」内の森タワーで、大阪府吹田市の溝川涼君(6)が自動回転ドアに挟まれて死亡した事故で、施設内の防犯カメラに涼君が回転ドアに挟まれた状況が映っていたことがわかった。涼君は回転してきたドアの先端に接触後、体ごと押し込まれるように、外枠の柱に激突していた。ドアに挟まれるのを防止する赤外線センサーが涼君を感知しなかった可能性が高まっており、警視庁は映像を分析し、事故当時のセンサーの稼働状況を調べる。
捜査1課の調べでは、涼君は初め、母親(38)と手をつないでいたが、ドアに近づくと手を離し、母親の少し先を小走りでドア内に入ろうとしたという。
当時、回転ドアの閉まる側の柱の前には、飛び込み防止用に、高さ約80センチのポール2本に赤いベルトを渡した安全柵(さく)が置かれていた。防犯カメラには、涼君が安全柵の左側をすり抜けて、閉まりかかった回転ドア内に入ろうとする姿が映っていた。
涼君はやや前傾姿勢で回転してくるドアの端に接触し、ドアに押されて柱にぶつかっていた。ドアは毎秒80センチで回転しており、この勢いでそのまま挟まれたとみられる。
赤外線センサーは、足元と天井部に設置されていた。足元のセンサーは涼君が前傾姿勢だったために、感知しなかったとみられる。一方天井部のセンサーは、地上から80センチより上の障害物を感知できるよう設定されていたとされるが、警視庁が調べたところ、涼君の身長と同じ117センチの障害物を感知しなかったという。
また、ドアの先端と柱の両方にはられたゴムには、圧力を感知すると急停止させるセンサーがついていた。涼君が接触した際にセンサーが感知したかどうかは不明だが、仮に感知したとしても、ドアは慣性で25センチ動く仕組みになっており、間に合わなかった可能性もある。
安全柵は12月に女児(6)が回転ドアに挟まれる事故が起きたため、六本木ヒルズを管理する森ビルが設置していた。
(03/29 16:01)
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