大型複合施設「六本木ヒルズ」内の森タワーで、大阪府吹田市の溝川涼君(6)が自動回転ドアに挟まれて死亡した事故で、国土交通省は29日、再発防止のため、回転ドアの安全指針をまとめることを決めた。
建築基準法上、回転ドアの安全基準はなく、どう安全に配慮するかはメーカーやビル管理者などに任されているため、統一的な指針作りが必要と判断した。ドアメーカーを所管する経済産業省とともに、4月中に専門家による検討会を設置し、3カ月後をめどに安全指針案をまとめる。
検討会は、国交省、経産省のほか、建築設備の専門家、回転ドアのメーカー、ビル管理会社の関係者などで構成する。
安全指針の具体的な内容については、(1)安全のため必要な構造上の配慮(2)人を挟み込んだ場合にけがを防ぐような設備(3)事故を防止するような適切な回転速度(4)回転ドアの設置場所や構造に応じた警戒のあり方などを中心に検討する見通しだ。
メーカーを通じた回転ドアの実態把握で、これまでに起きた事故や安全対策などを分析し、指針作りに役立てる考えだ。
また、国交省は同日、回転ドアを含む自動ドアの業界団体「全国自動ドア協会」を通じ、製造各社に対し設置状況や安全対策などの実態調査を依頼した。併せて、利用者に対して事故が起きないよう、安全に配慮するように求めた。
一方、経産省は同日、回転ドアを製造するメーカーなどが加盟する日本サッシ協会(加盟131社)に対し、再発防止に向けた取り組みを徹底するよう指導した。同省の福水健文・製造産業局次長が同協会の稲垣信良・専務理事らを呼び、過去の事故事例の調査や安全対策を検討するよう伝えた。
(03/29 21:55)
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