東京都港区の大型複合施設「六本木ヒルズ」内の森タワーで26日、大阪府吹田市の溝川涼君(6)が自動回転ドアに挟まれて死亡した事故で、警視庁は30日、ドアを製造した「田島順三製作所」(東京都豊島区)の親会社の「三和シヤッター工業」(新宿区)や、六本木ヒルズを管理する「森ビル」(港区)など関係先計7カ所について業務上過失致死容疑で家宅捜索を始めた。警視庁は、安全管理に問題があったとの見方を強めており、押収した資料で原因の解明を進める。
捜査1課のこれまでの調べでは、涼君は閉まりかかった回転ドア内に入ろうとして、ドアと柱に頭を挟まれて死亡した。ドアには、天井部と下部に障害物を感知すると急制動がかかる赤外線センサーが設けられていた。
三和側は、天井部のセンサーの感知範囲について当初地上80センチから天井までと同社の基準通りに設定していたが、センサーの誤作動が相次いだことなどから、担当者がこの設定を変更。涼君の身長117センチよりも高い地上120センチから天井までと感知範囲を狭めたことがわかっている。
またドアが停止するまでの制動距離が25センチあり、センサーが正常に機能しても、事故を避けられない構造的問題があった疑いも出ている。
一方、森ビル側もセンサーの感知範囲の変更を了承していた可能性がある。さらに昨年4月の開業から、回転ドアでの事故が32件起きていたにもかかわらず、メーカー側や警察に報告するなど十分な安全対策を取らなかったとされる。
捜査1課は、資料の分析とともに森ビルなどの関係者からの事情聴取を進め、回転ドアの構造やセンサーの設定変更をめぐる交渉経緯などを詳しく調べる。
(03/30 12:01)
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