三菱地所(東京都千代田区)の高木茂社長は30日、同社が所有する「丸ビル」(同)と「横浜ランドマークタワー」(横浜市西区)などに設けている自動回転ドア19台について、27日から停止したことを明らかにした。大半のドアが、溝川涼君(6)が26日に挟まれて死亡した東京の「六本木ヒルズ」のドアと同じ「田島順三製作所」(豊島区)製で、両施設でも子供が挟まれて骨折するなどの事故が12件起きていたためだ。高木社長はさらに「不測の事態を考えると100%安全が戻るとは思えない」として回転ドアの撤去も検討するという。
三菱地所やビルを管理する三菱地所ビルマネジメントによると、骨折事故があったのは横浜ランドマークタワーで、昨年3月25日午後6時半ごろ、小学1年の男児が回転ドアの中に入って転倒し、ドアと床のすき間約3センチに右足のかかとが挟まれた。
ドアはそのまま動き続けたため、男児は足をねじって右太ももを骨折した。救急搬送され、3カ月半入院した。両親は近く、神奈川県警に被害届を出すという。県警は業務上過失傷害容疑で捜査する。
同タワーではこのほかにも93年の開業以来、治療を伴う事故が8件発生。うち7人は小学生以下だった。回転ドアの中で遊んでいて首をドアに挟まれ右耳付近を切った男児(6)もいた。三菱地所はいずれも警察には通報していなかった。
丸ビルは02年9月に新築され、その時から自動回転ドアを7カ所設けた。事故は03年7月と同年10月、今月26日に3件あった。うちドアに挟まれたのは2件で、3歳と4歳の子供が軽いけがをした。
ランドマークタワーでは、事故が頻繁にあった95年ごろ(1)赤外線センサーの感知範囲を広げる(2)追突防止センサーを増やす(3)子どもの目線の高さに警告のステッカーを張る、などの対策を取ったという。
丸ビルではビジネス利用が大半として「小さい子どもが飛び込むような事態は予測できない」として追加の安全対策は講じていなかった。
三菱地所は、横浜ランドマークタワーと丸ビルを含め東京都と横浜市、大阪市に所有する6カ所のビルに自動回転ドアを計19台設置している。
(03/30 21:31)
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