
ベラスケス、ゴヤと並んでスペイン三大画家と呼ばれるエル・グレコ。油彩など51点が並ぶ国内最大規模の個展が、東京都美術館で2013年1月19日から開催されます(4月7日まで)。独特の人物描写と劇的な陰影で多くの人々を魅了するエル・グレコ展の見どころを、お伝えします。

タイムライン
- 1541〜
ヴェネツィア共和国支配下のクレタ島(現ギリシャ領)に生まれる
- 1567〜
この頃、イタリアのヴェネツィアへ渡り同地の絵画様式を習得
- 1577〜
この頃、スペインに渡り、トレドに定住する
- 1600〜
エル・グレコの特徴である動的な構図や大胆な色使いが強まる
- 1606〜
1614年、トレドで死去
(73歳)
-
芸術家の自画像(エル・グレコ)
(1595年頃)
メトロポリタン美術館、ニューヨーク
©The Metropolitan Museum of Art, Purchase, Joseph Pulitzer Bequest, 1924(24.197.1)
エル・グレコ(本名ドメニコス・テオトコプーロス、1541−1614年)は16世紀から17世紀にかけて活躍し、ベラスケス、ゴヤとともにスペイン三大画家の一人に数えられる。モデルの人となりをも描き出す独自の肖像画や揺らめく炎のように引き伸ばされた人物像が印象的な宗教画は、当時の宗教関係者・知識人の圧倒的な支持を得た。画家の死後、その作品は急速に忘れ去られたが、セザンヌやピカソら20世紀の巨匠たちから「近代絵画の先駆者」として再評価され、現在では西洋美術史上最も偉大な画家の一人とされている。
「聖母を描く聖ルカ」はクレタ島にいた最初期の時代に描かれた。基本的には後期ビザンティン様式のイコン画のスタイルを踏襲しながら、聖ルカの足の描写や聖母との間に描かれた天使の躍動感にはイタリア・ルネサンス様式への関心もうかがえる。
- ▼この時期の代表作品(画像をクリックすると拡大します)

聖母を描く聖ルカ
(1563-1565年頃)
ベナキ美術館、アテネ
©2012 by Benaki Museum Athens
-
燃え木で蠟燭を灯す少年
(1571-1572年頃)
コロメール・コレクション
©Colomer Collection
エル・グレコがローマで描いた作品。周囲の暗闇と、少年の持つ燃え木を中心とした光のコントラストは後のカラヴァッジョ派を思わせる劇的な効果を生み出している。ローマ移住時、「ティツィアーノの弟子」として紹介されたエル・グレコは、こうした作品を通じてヴェネツィア派特有の表現力をアピールしたと考えられる。
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キリストの埋葬
(1568-69年頃)
ナショナル・ギャラリー、アテネ©National Gallery - Alexandros Soutzos Museum, Athens, inv.9979

シナイ山の眺め
(1570-72年頃)
カロケリノス慈善財団(クレタ歴史博物館寄託)、イラクリオン
©A.&M. Kelokairinos Foundation on permanent loan at the Historical Museum of Crete

悔悛するマグダラのマリア
(1576年頃)
ブダペスト国立西洋美術館
©Museum of Fine Arts, Budapest, 5640

受胎告知
(1576年頃)
ティッセン=ボルネミッサ美術館、マドリード
©Museo Thyssen-Bornemisza, Madrid

羊飼いの礼拝
(1568-69年頃)
ヴィルムスン美術館、フレズレクスン
©The J.F.Willumsen Museum, Denmark
- ▼この時期の代表作品

キリストの埋葬
(1568-69年頃)
ナショナル・ギャラリー、アテネ©National Gallery - Alexandros Soutzos Museum, Athens, inv.9979

シナイ山の眺め
(1570-72年頃)
カロケリノス慈善財団(クレタ歴史博物館寄託)、イラクリオン
©A.&M. Kelokairinos Foundation on permanent loan at the Historical Museum of Crete

悔悛するマグダラのマリア
(1576年頃)
ブダペスト国立西洋美術館
©Museum of Fine Arts, Budapest, 5640

受胎告知
(1576年頃)
ティッセン=ボルネミッサ美術館、マドリード
©Museo Thyssen-Bornemisza, Madrid

羊飼いの礼拝
(1568-69年頃)
ヴィルムスン美術館、フレズレクスン
©The J.F.Willumsen Museum, Denmark
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白貂の毛皮をまとう貴婦人
(1577-90年頃)
グラスゴー美術館(ポロック・ハウス)
©Culture and Sport Glasgow(Museums)
エル・グレコの数少ない女性肖像画の一点。作者は本当に彼なのか、またモデルは誰なのかといった議論を生んでいるミステリアスな一点でもある。これまでには、画家の娘(実際にはいなかった)や内縁の妻という説、フェリペ2世の娘という説など様々な臆測を呼んだ。従来の男性肖像画にしか見られなかったこちらを見つめる視線や女性の美貌、肌の透き通るような質感は、エル・グレコの高い技術と知識を表すとともに、時代を超えて多くの者をひきつける魅力を放つ。
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- ▼この時期の代表作品(画像をクリックすると拡大します)

聖ラウレンティウスの前に現れる聖母(1578-81年頃)
ヌエストラ・セニョーラ・デ・ラ・アンティグア財団、モンフォルテ・デ・レモス©Fundación Nuestra Señora de la Antigua

巡礼者としての聖ヤコブ
(1585-1602年頃)
サン・ニコラス教区聖堂(サンタ・クルス美術館寄託)、トレド©Parroquia de San Nicolás de Bari. Toledo. Spain.

聖アンナのいる聖家族(1590-95年頃)
メディナセリ公爵家財団タベラ施療院、トレド©Fundación Casa Ducal de Medinaceli, Hospital de Tavera, Toledo, Spain

福音書記者聖ヨハネのいる無原罪のお宿り(1595年頃)
サンタ・レオカディア・イ・サン・ロマン教区聖堂(サンタ・クルス美術館寄託)、トレド©Parroquia de Santa Leocadia y San Roman, Toledo, Spain.

聖マルティヌスと乞食(1599年頃)
奇美博物館、台南©CHI MEI MUSEUM, TAINAN,TAIWAN
- ▼この時期の代表作品

聖ラウレンティウスの前に現れる聖母(1578-81年頃)
ヌエストラ・セニョーラ・デ・ラ・アンティグア財団、モンフォルテ・デ・レモス©Fundación Nuestra Señora de la Antigua

巡礼者としての聖ヤコブ
(1585-1602年頃)
サン・ニコラス教区聖堂(サンタ・クルス美術館寄託)、トレド©Parroquia de San Nicolás de Bari. Toledo. Spain.

聖アンナのいる聖家族(1590-95年頃)
©メディナセリ公爵家財団タベラ施療院、トレド©Fundación Casa Ducal de Medinaceli, Hospital de Tavera, Toledo, Spain

福音書記者聖ヨハネのいる無原罪のお宿り(1595年頃)
サンタ・レオカディア・イ・サン・ロマン教区聖堂(サンタ・クルス美術館寄託)、トレド©Parroquia de Santa Leocadia y San Roman, Toledo, Spain.

聖マルティヌスと乞食(1599年頃)
奇美博物館、台南©CHI MEI MUSEUM, TAINAN,TAIWAN
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聖衣剥奪 (1605年頃)
サント・トメ教区聖堂、オルガス
©Parroquia de Santo Tomás Apóstol Orgaz(Toledo). Spain.
トレド大聖堂からの依頼で、キリストが十字架につく前に衣服をはぎ取られる場面を描いた作品。今回の展示作品はそのレプリカになる。この場面で、聖書には記述のない聖母・マグダラのマリア・小ヤコブの母の3人のマリアを描いたことや群衆をキリストより上に配したことなどが異端的として、大聖堂側は報酬の支払いを拒否。裁判などでも争われた結果、エル・グレコは大幅に減額された報酬で妥協する形となった。だが、物議を醸すほどの斬新な構図、マニエリズムの特徴であるドラマティックな人物描写など、本作はエル・グレコの真骨頂である造形世界が実現された作品ともいうことができる。
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受胎告知
(1600年頃)
ティッセン=ボルネミッサ美術館、マドリード©Museo Thyssen-Bornemisza, Madrid

受胎告知
(1603-05年)
カリダード施療院、イリェスカス©Hospital de la Caridad de Illescas(Toledo), Propiedad de FUNCAVE

聖母戴冠
(1603-05年)
カリダード施療院、イリェスカス©Hospital de la Caridad de Illescas(Toledo), Propiedad de FUNCAVE

オリーヴ山のキリスト(1605年頃)
リール美術館©RMN/Hervé Lewandowski
- ▼この時期の代表作品

受胎告知
(1600年頃)
ティッセン=ボルネミッサ美術館、マドリード©Museo Thyssen-Bornemisza, Madrid

受胎告知
(1603-05年)
カリダード施療院、イリェスカス©Hospital de la Caridad de Illescas(Toledo), Propiedad de FUNCAVE

聖母戴冠
(1603-05年)
カリダード施療院、イリェスカス©Hospital de la Caridad de Illescas(Toledo), Propiedad de FUNCAVE

オリーヴ山のキリスト(1605年頃)
リール美術館©RMN/Hervé Lewandowski
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無原罪のお宿り (1607-13年)
サン・ニコラス教区聖堂(サンタ・クルス美術館寄託)、トレド
©Parroquia de San Nicolás de Bari. Toledo. Spain.
トレドのサン・ビセンテ聖堂からの依頼で制作した、347×174センチという迫力ある作品。この作品のための祭壇衝立の設計も行った。下から上へ回転しながら視点を運ばせるような動的な構図、引き延ばされた人物像や大胆な色彩はエル・グレコのスタイルを顕著に表している。実際の聖堂では、この絵画の上に窓があり、作品内の精霊を表す鳩はここから飛んできたかのように見えたという。
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羊飼いの礼拝
(1610年頃)
メトロポリタン美術館、ニューヨーク©The Metropolitan Museum of Art, Bequest of George Blumenthal, 1941(41,190,17)

聖母のエリザベツ訪問
(1607-13年)
ダンバートン・オークス、ワシントン
©Dumbarton Oaks Research Library and Collection, Washington, D.C.

修道士オルテンシオ・フェリス・パラビシーノの肖像(1611年)
ボストン美術館
Photograph©2012 Museum of Fine Arts, Boston.
- ▼この時期の代表作品

羊飼いの礼拝
(1610年頃)
メトロポリタン美術館、ニューヨーク
©The Metropolitan Museum of Art, Bequest of George Blumenthal, 1941(41,190,17)

聖母のエリザベツ訪問
(1607-13年)
ダンバートン・オークス、ワシントン©Dumbarton Oaks Research Library and Collection, Washington, D.C.

修道士オルテンシオ・フェリス・パラビシーノの肖像(1611年)
ボストン美術館
Photograph©2012 Museum of Fine Arts, Boston.
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開催概要
- ▼大阪展【終了】
- 【会期】2012 年10月16日(火)〜 12月24日(月・休)
- 【会場】国立国際美術館(大阪市北区中之島4-2-55)
- 【開室時間】10:00〜17:00(金曜は19:00) 入館は閉館30分前まで
- 【閉室日】月曜日(ただし12月24日(月・休)は開館)
- ▼東京展【終了】
- 【会期】2013年1月19日(土)〜 4月7日(日)
- 【会場】東京都美術館(東京都台東区上野公園8-36)
- 【開室時間】9:30〜17:30( 金曜は20:00) 入室は閉室30分前まで
- 【閉室日】月曜日(ただし2月11日は開室、12日は閉室)
※開催情報は変更となる場合があります。
最新情報はエル・グレコ展公式サイトでご確認ください。
http://www.el-greco.jp/