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スペイン絵画の巨匠エル・グレコ(1541〜1614)を回顧する「エル・グレコ展」が大阪の国立国際美術館で開かれている。故郷ギリシャ・クレタ島でイコン画家として活動していた時期からイタリアでの修業時代、スペイン・トレドに渡って以降の作品で画業を振り返る。プラドやメトロポリタン、ボストン美術館など、世界各地から集められた傑作が一堂に会した。会場の様子を写真で紹介する。(写真はいずれも大阪市北区の国立国際美術館で筋野健太撮影)
■無原罪のお宿り(写真1)
前に立つと、見上げてしまう大きさや、聖母マリアらが光に向かって上昇するダイナミックな構図に圧倒される。日本初公開のこの祭壇画は、エル・グレコが亡くなる前年に描き上げ、最高傑作の一つといわれる。高さは約3.5メートルある。奈良市の男性会社員(45)は「絵とは思えない光の描き方と、マリアたちの空を舞うような描写に引きつけられた」と話した。
■受胎告知、聖母戴冠、キリスト降誕(写真2、左から)
円・楕円(だえん)形の3作品は、スペインのトレド郊外にあるカリダード施療院礼拝堂の祭壇画だ。
天井など高い場所に飾られるため、いずれも仰ぎ見られたときの視覚効果を考え、人物などを実際とは異なる比率の短縮法で描かれている。今回の展示でも、意識して下から鑑賞してみてください。
■聖アンナのいる聖家族(写真3)
見た瞬間、温かみを覚える。幼いイエスに授乳する聖母マリアの表情、養父ヨセフやマリアの母アンナも含め、人物たちの手の繊細さなどに、大阪市内の主婦(38)は「見る側を優しい気持ちにしてくれる絵ですね」と感心していた。
この絵の愛らしく理想化されたマリアは、エル・グレコの描いた女性像の中で最も美しい一つともいわれている。
■修道士オルテンシオ・フェリス・パラビシーノの肖像(写真4)
展覧会場の入り口近くに飾られたこの作品は友人の修道士を描いている。炎のように揺らめく衣服のひだ、細やかな手の動き、首のひねり、視線の向け方など、生命感のある描写にエル・グレコの独創性が生かされている。
■悔悛(かいしゅん)するマグダラのマリア(写真5)
罪人であったが、キリストと出会って悔い改めたマグダラのマリアを描いた。エル・グレコが繰り返し取り上げたテーマで、この作品は珠玉の一点といわれる。左下の透明なガラス製の壺は、女性美と生命のはかなさを伝えている。
■白貂(しろてん)の毛皮をまとう貴婦人(写真6)
宗教画家として知られるエル・グレコだが、実は肖像画を得意にしていた。この作品は謎が多く、別人が描いたという説さえあった。毛皮をまとい、見つめ返すような視線が魅惑的な女性のモデルは、今も特定されていない。
■聖マルティヌスと乞食(写真7)
聖マルティヌスが、裸の物乞いに自分のマントを切り分けて与えた場面。スペイン・トレドのサン・ホセ礼拝堂の祭壇画として描かれたが、縮小レプリカが複数存在する。その中で優品のこの作品はオリジナルの半分ほどの大きさだ。
■聖ペテロ、聖パウロ(写真8、左から)
キリスト使徒を描いた13点の連作のうちの2点。展示ではもう1点「複音書記者聖ヨハネ」も鑑賞できる。兵庫県芦屋市から来た女性(70)は「人物が背景から浮き上がって光を放っているように見えて驚いた」と話した。
■エル・グレコ展サポーター、女優・森口瑤子さん(写真9)
開会式で「独特の鮮やかな色彩を見てほしい」と語った。後ろは「聖ラウレンティウスの前に現れる聖母」。