庄内柿の産地、山形県藤島町で15日から17日にかけ、収穫を迎えた柿の木14本から約375キロ(約3千個、約8万1千円相当)の柿の実が盗まれた。農家から通報を受けた鶴岡署は18日、窃盗事件として捜査を始めた。
「果樹王国」山形では今夏、サクランボが大量に盗まれる事件が相次ぎ、注意を呼びかけていた。関係者は「まさか柿まで狙われるとは」と頭を抱えている。
被害を受けたのは同町鷺畑の農家横山権一郎さん(69)。同署の調べによると17日昼、横山さんら家族3人が収穫しようとしたところ、200本ほど育てているうち、日当たりのよい場所の柿がごっそりなくなっていた。「雨続きで収穫を見合わせていた間に盗まれた」という。
柿畑は雑木林に囲まれており、道路からは見えにくい。横山さんは、樹高が背丈ほどで止まるよう育てている。14本は「実を一つ残らず取られた」という。
ただ、はさみは使わず、枝と実の間をよじって取っていた。これだと「ほぞ」と呼ばれる枝の一部が実に残る。「ほぞ付きだと、収穫や出荷時に実がぶつかり傷む。農家のやり方とは違う」という。盗まれた量は収穫作業3日分にあたる。横山さんは「残念でならない。やっと本格的な収穫期を迎えたというのに……。許せない行為だ」と話している。
庄内柿は、新潟・佐渡のおけさ柿、宮城のたる柿と同じ平核無(ひらたねなし)の一つ。ほとんど種子ができない不完全渋柿だが、果肉は緻密(ちみつ)で果汁も多く、食味に優れている。庄内地方では農協などで渋抜きしてから出荷される。
(10/18 20:53)
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