現在位置:
  1. asahi.com
  2. ニュース
  3. 特集
  4. 普天間移設の行方
  5. 記事

辺野古、V字案で調整 I字案断念へ 沖合移動も検討

2011年1月18日4時3分

印刷

ソーシャルブックマーク このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

図拡大  

 日米両政府は、沖縄県の米軍普天間飛行場(宜野湾市)移設先に予定する名護市辺野古の代替施設について、滑走路2本の「V字案」で調整する検討に入った。滑走路1本の「I字案」は断念する見通しだ。安全性や騒音への配慮から、V字滑走路を従来の日米合意よりも沖合に移動させることも検討している。ただ沖縄側は「県外移設」を求めており、理解を得られる見通しは立っていない。

 昨年8月の日米専門家協議の報告書では両案を併記して結論を先送りした。だが、菅政権は、日中、日ロ関係を巡る失態を踏まえ、日本外交の基軸である日米関係を立て直す姿勢を鮮明にしている。

 このため日本側は、米側が「最善」としているV字案を優先し、昨年春以降に自ら提案したI字案の断念もやむを得ないとの判断を強めている。今春の菅直人首相の訪米を成功させるためにも、その前に開かれる予定の日米外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)をめどにV字案での合意を目指す構えだ。

 米側は日本側の出方を見守る考え。キャンベル米国務次官補は移設問題について、沖縄の理解を含む「最終決着」が困難な情勢を踏まえ、期限を設けない考えを示している。ただ、普天間移設と連動する在沖縄海兵隊のグアム移転費の新たな予算案を今春にまとめる予定で、議会対策を考えると「(2プラス2では)何らかの進展は必要」との考えが米側には強い。

 一方、地元沖縄は、「県外移設」を唱えながら辺野古に回帰した鳩山前政権の迷走もあり、県内移設自体への反対が強い。昨年1月の名護市長選では同市への移設に反対する市長が誕生。同11月の県知事選で仲井真弘多知事も県外移設を公約して再選された。菅政権は、普天間移設の進展が沖縄の負担軽減につながることを説明し、県民世論の動向も踏まえて、正式な意思決定をする方針だ。

 V字案は2006年に日米で合意した行程表(ロードマップ)と同じ内容。昨夏の報告書では、V字案は飛行経路が集落を可能な限り回避しており、危険性や騒音を減らすことができるとしている。埋め立て面積は増えるが、緊急時に使える2本目の滑走路があるため、米側はV字案を目指す立場を崩していない。

 一方、I字案は日本側にとって「民主党政権が自民党時代との違いを出す」(防衛省幹部)意味合いもあった。

 I字案の方が埋め立て面積が少ないといった利点も挙げられたが、飛行経路は内陸部の上空に大きくかかるため、墜落事故の危険性や騒音被害が増す懸念が指摘されていた。

 日米の外務・防衛当局は近く、昨秋の沖縄知事選で普天間問題が争点化するのを避けるために一時止めていた移設交渉を正式に再開する見通し。日本側の外務・防衛当局者によると、日本側はすでにV字滑走路の沖合移動を米側に非公式に打診し、米側は移設が進展するなら、と容認姿勢を示しているという。

 埋め立て面積は現在のV字案より増えるが、危険性や騒音の影響は小さくなる。自民党政権時代には沖縄側からV字案を前提に沖合移動の要望が出ていたが、民主党政権の迷走で沖縄側の態度は硬化しているのが実情だ。

 滑走路を移動させる幅については、防衛省は09年4月の環境影響評価(アセスメント)の準備書で、南や西へ50〜100メートル移動させる案であれば「現計画に比べて自然環境に及ぼす影響が小さい」などと修正の余地を残していた。日本側は、アセスの大幅やり直しが不要な50メートル程度の移動を想定している。(鶴岡正寛、ワシントン=伊藤宏)

PR情報
検索フォーム


朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内事業・サービス紹介