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米軍基地「返還前に環境調査を」 沖縄知事ら政府に要望

2011年2月8日21時32分

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写真基地問題をめぐり、菅直人首相(右)に要望書を手渡す沖縄県の仲井真弘多知事=8日夕、首相官邸、飯塚悟撮影

 沖縄の米軍基地の環境汚染をめぐり、関係自治体の首長が8日上京し、改善の要請活動をした。柱は、基地の返還予定地での環境調査の実現。返還後に有害物質や不発弾がみつかり跡地利用に支障をきたす恐れがあるためだ。沖縄は、日米地位協定改定による本格的な環境調査の導入を求めているが、米側は慎重だ。

 沖縄県の仲井真弘多知事と稲嶺進名護市長らは首相官邸や外務・防衛両省、米国大使館を訪ね、「基地から派生する諸問題の解決」を訴えた。米軍普天間飛行場の「県外移設」や基地返還に加え、強く訴えるのは環境問題をめぐる日米地位協定の見直しだ。現協定には、環境汚染への対応に関する規定はない。

 仲井真氏は菅直人首相と会談し、「基地転用でいろんなトラブルが起きている。環境の改善を」と要請。首相は「しっかり検討したい」と応じた。返還跡地の開発が振興のカギを握る沖縄側にとって、基地での環境汚染は死活問題。地位協定を改め、日米両政府に返還前の共同調査を義務づけるよう求めている。

 面積の半分以上を米軍基地が占める同県北谷町では、2003年に米側からキャンプ桑江北側(38ヘクタール)が返還された。町が土地区画整理事業を進めるが半年ほど遅れが出ている。土壌から有害物質が次々に見つかったためだ。

 返還直後の日本政府による調査で、土壌からヒ素や鉛、ガソリンなどが検出された。土の入れ替えや洗浄を行い、04年に地権者に引き渡されたが、今度は町の調査で大量の不発弾や燃料タンクを発見。昨年はコンクリート塊からアスベストも確認され、「何があるのか掘り起こさないとわからない」(野国昌春町長)という状態が続く。

 地位協定では基地は米側が管理権を持っているため、日本側の立ち入りは難しい。しかも米側には返還時の原状回復義務がない。このため、返還後にやっと日本側は汚染調査や有害物質の除去をしているのが実情だ。大規模な汚染が見つかれば、それだけ跡地利用が遅れる。

 日米両政府は7日、外務・防衛・環境の各当局課長級が参加した環境作業部会を東京でスタート。米軍基地の返還前の環境調査もテーマに据えた。ただ、米側はこの調査で軍の運用を制限されることを嫌ううえ、「汚染物質が基地返還前に見つかって批判されることを恐れている」(防衛省幹部)という。

 菅政権内には「米政府は議会から『沖縄の負担軽減はいいが、普天間移設はどうなったのか』と言われるのを気にしている」との指摘もあり、協定の改定は難しいとの見方が大勢を占めている。(藤田直央、河口健太郎)

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