米軍の新型輸送機オスプレイが準備飛行(試験飛行)をしている日本海側の訓練空域付近に、飛行開始前後からロシア軍の電子偵察機「IL20」の飛来が相次いでいることが分かった。試験飛行中のオスプレイの電波情報の収集が目的とみられ、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)して警戒にあたっている。
オスプレイをめぐっては、日本政府が今月19日に国内での飛行を認める「安全宣言」を出し、21日からは山口県下関市沖の米軍訓練空域などで試験飛行を重ねている。
防衛省によると、ロシア軍機が接近してきたのは20、22、24日。いずれも日本海を南下、正午前ごろにオスプレイの訓練空域付近で旋回した後、日本領空に沿って北上するコースを飛行した。20日は現場空域の電波状況などの下見だった可能性もある。いずれも空自戦闘機が緊急発進して警戒した。領空侵犯などはなかった。
飛来したIL20は、航空機や艦艇のレーダーや通信、ミサイル誘導などの電波情報を集める機能をもっている。事前に目的ごとの周波数などがわかれば、活動を把握したり、妨害電波をぶつけることで作戦を攪乱(かくらん)したりできる。
防衛省は緊急発進事案のうち、特に飛行時間が長いケースなどを公表の対象にしている。IL20は今年1〜7月に計4回、日本周辺に飛来したが、いずれも北陸沖付近で引き返していた。
また、日本周辺でのIL20の飛行は2010年に11回、11年に13回確認されているが、この空域付近まで飛来したのは両年とも2回ずつだった。5日間に3回も同じルートを飛行するのは極めて異例という。
ロシア機をめぐっては4〜6月に空自機の緊急発進が昨年同期比で約2.6倍の62回を記録。緊急発進回数全体の約76%を占めており、防衛省は日本周辺での活動が活発化しているとみて警戒を強めている。(其山史晃)