博多駅前でツイッター画面を見る梅崎健理くん=福岡市博多区、金子淳撮影
2月18日夜。広告ディレクターの佐藤尚之さん(48)は、講演で訪れた福岡・天神の居酒屋で、知人から1本の電話を受けた。
「うめけんくんが会いたがっている」と。
ツイッター上で「うめけん」と名乗る地元の高校生のことだった。ソフトバンクの孫正義社長(52)がフォロー(閲読登録)している高校生として知られていた。
孫社長がツイッターを始めたのは昨年末。すでに20万人以上からフォローされているが、フォローをしているのは、佐藤さんの勧めでツイッターを始めた鳩山由紀夫首相(63)やマイクロソフトのビル・ゲイツ会長(54)ら40人ほど。そのうち、3番目にフォローをしたのが「うめけん」、梅崎健理(けんり)くん(16)だった。
その彼が、知人を通じて携帯電話に連絡をしてきて、たちまち居酒屋に姿を見せた。
福岡にいること、天神で食事をしていること、最終の飛行機で東京に帰ること。佐藤さんはその日の行動を、ほぼ同時進行でツイッターに投稿していた。
しかし、あっという間に現実とツイッターが交差し、初対面の高校生が目の前に立っていた。
梅崎くんはその少し前、同じ九州の東国原英夫・宮崎県知事(52)がツイッターを始めたことを知った。そして、ツイッターの「つながる力」を何とか知事に伝えたい、と考えていた。
そんな話を相談していた人が、佐藤さんの知人でもあった。放課後、天神の書店にいた梅崎くんは、「首相にツイッターを勧めた人」が近くにいることを教えられる。
生まれた時から周囲にコンピューターやネットなどのデジタル技術が当たり前に存在した世代は、「デジタルネイティブ(生まれつきデジタル)」との呼び名がある。
梅崎くんは1993年生まれ。その2年後は「インターネット元年」だ。物心ついた時には、キーボードを触っていた。
「ネットや検索や携帯が当たり前である世代の彼にとっては、距離感や、今すぐ、という時間の感覚が、私たちとは随分違うんだろうと思う」と佐藤さん。
梅崎くんとの会話は、いきなり本題から始まった。ツイッターは、140字しかないから「こんにちは」なしで用件が始まる。まさにそんな成り行きだった。
行動力、明確な主張、スピード感。「デジタルネイティブの特徴がよく出ている」と佐藤さんは感じた。
「うめけん」とは、どんな高校生なのだろう。(編集委員・平 和博)