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〈メディア激変20〉この人が使う―1 新しい言葉を呼んでくる

2010年4月24日10時38分

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写真加藤登紀子さん=東京都渋谷区、関田航撮影

 「気持ちのいい朝、背中に太陽なう」

 まず目をさますとツイッターをチェックする。歌手の加藤登紀子さん(66)の朝の日課だ。「@TokikoKato」の登録名で、1万8000人のフォロワー(読者)と会話をする。前夜の論議の続きに、丁寧に目を通して答えていく。

 「声をかけてくれた人には、できるだけ返してあげたいの」。「昨晩のご飯」から「地域通貨」「戦争とお金」「環境問題」「恋愛論」。あらゆる話題を取り上げる。

 原稿を書いていて疑問があると、ツイッターに投げかける。「たばこ屋の娘が出てくる太宰の小説って?」。すぐ「『人間失格』です」。「ネットの中には物知りの人が多いですね」

 思いもよらないやり取りで話題が広がる。「ツイッターって知の宝庫。でもすぐ情報があふれちゃう。いつ何を論議したのか思い出すのに、小さな日誌をつけています」。そして議論の基になる事実を確認するため、昔より丁寧に新聞を読むようになったという。

 ツイッターを始めたのは昨年9月。歌手活動の原点となった1960年代を振り返る、「1968」という曲のCDを出したときに、その情報発信先の一つとして試してみた。以前からホームページもあったが、パソコンは苦手。自分では触らなかった。しかし、ツイッターは「面白そう」に思えた。そのゆるやかにつながる感じが性格に合っている、とも勧められた。

 アイフォーンで、ツイッターを使う練習を始めてみると、「またたく間に、はまりましたね」。今では友人が驚くぐらい速く打ち込む。

 「これって連歌のようなもの。自分の言葉が外から新しい言葉を呼んでくる。いろんな人とやりとりして、自分の中から出てくるものを楽しむメディア」

 即興のようなリズム感。文字数の制約がある中で、作詞をするように「あと5文字入れるには、どう言い換えよう」と細部を考える。

 「母がファンだったんです」「以前にフィリピンのアキノ政権1周年のコンサートのときの聴衆の1人でした」。顔を合わせたこともない人から連絡が来る。「一生二度と会うことのなかったはずの人にも再会している」。コンサートの会場でも聞こえてこなかった、歌への反応が寄せられる。世代や国は関係ない世界だ。

 今年は音楽活動45周年。「君が生まれたあの日」という団塊世代の親が子どもに語りかける新曲を出した。「かみあわない世代同士だけど、同じことを違う局面で考えている。ツイッターが、そうした人たちが向かい合えるテーブルになるといい」(服部 桂)

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