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〈メディア激変31〉初音ミクと―3 作りたいものを皆が作る

2010年5月14日22時52分

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写真作品の販売イベントは一日中にぎわった=東京都大田区

 5月9日、東京都大田区の産業プラザで、販売イベントが開かれた。売られていたのは、一般の人たちが「初音ミク」などの歌声合成ソフトで作った作品のCDやDVDだ。

 約1600平方メートルの会場はごった返し、開場後、2時間近く入場制限に。ネットで人気を集める作者が、直接手渡す自作のCDなどは数百枚規模で売れていく。20枚近く買ったという東京都北区の男性会社員(24)は、「好きな作者のサインをもらった」。次回は7月、倍の広さの会場に移る。

 人気の「自作曲」は、「ニコニコ動画」など共有サイトでの発信にとどまらなくなってきた。

 通信カラオケの老舗(しにせ)、ジョイサウンドの今年5月最初の週間ランキングは、トップ10のうち6曲を、初音ミクなどで作った楽曲が占めた。約13万の全配信曲中、そんな自作曲は約420曲。「市販曲に比べて作り手を身近に感じる」と東京都板橋区の学校事務の女性(25)は言う。

 同社では、店舗やネット経由で利用者のリクエストを受け付け、毎月上位200曲を追加配信している。「当初は昔の歌が来るかと思ったが、実際はネットの人気曲が多かった」と運営会社エクシングのエンタテイメントビジネス事業部・小林拓人さん(38)。07年11月に一般には無名の自作曲2曲を配信。好位置に入り、「強い手応えがあった」。今、毎月の追加200曲中50曲程度を自作曲が常に占める。

 ゲーム大手、セガは09年7月、ソニーの携帯ゲーム機プレイステーション・ポータブル(PSP)用ソフト「プロジェクト・ディーヴァ」を発表した。音楽に合わせてゲーム機を操作するゲーム。使われている楽曲は、大半がアマチュア音楽家が初音ミクなどで自作したものだ。

 このソフトは、「社内の全員が驚く」ような売れ行きに。その第2弾、さらにゲームセンター向けも企画され、今年6〜7月に市場に出る。

 「仕事ではなく、純粋に作りたいものを皆が作っている。その中から人気を集めてきた作品は、ファンの愛着もとても強い」と同社の開発プロデューサー片岡洋さん(43)は言う。

 ニコニコ動画と提携して、09年10月にゲームに収録する楽曲を公募、200曲以上が寄せられた。「選考も利用者参加型でした」

 「それぐらい、利用者が中心の世界なんです」。初音ミクの発売元、クリプトン・フューチャー・メディアで開発に当たった佐々木渉さん(30)は話す。

 その利用者たちがこのソフトをきっかけに作り上げたメディア空間は、様々な形で、リアルの場面に流れ出したのだ。(丹治吉順)

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