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〈メディア激変30〉初音ミクと―2 数百万回聴かれた曲

2010年5月14日22時52分

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写真夜だけ予定されていたコンサートに応募が殺到、急きょ昼の部も追加された=東京・お台場(セガ提供)

 3月9日、東京・お台場のライブハウス「ゼップ東京」は約2700人の観客で埋まった。

 ステージ中央には、幅6メートル、高さ2メートルのアクリル製ボード型スクリーン。そこに、髪をツインテールに結った少女のCG(コンピューター・グラフィックス)が、プロジェクターで投影される。ギター、キーボード、ドラムなどの楽器は生演奏。それに合わせて、CGのキャラクターがダイナミックなダンスを披露すると、会場を埋めたファンは歓声を上げ、手にした発光スティックを一斉に振り始めた。

 ボーカルをとるのは、パソコン用ソフト「初音ミク」で作られたコンピューター合成の歌声。歌の作者は、一般の利用者たちだ。

 「初音ミク」は、ヤマハの音声合成技術「ボーカロイド2」を基に、音楽ソフト会社クリプトン・フューチャー・メディア(本社・札幌市)が開発した。

 人間の声を細かい音の要素に分解してデータベース化し、歌詞とメロディーを指定すると、自然な歌声として再現する。パッケージには、そんな利用者の自作曲を歌う、架空のアイドルのようなイメージキャラクターが描かれている。

 通常の音楽制作ソフトが千本売れればヒットといわれる中、参考価格1万5750円で、07年8月末の発売からこれまでに約5万6千本を売った。続けて、「鏡音リン」「巡音(めぐりね)ルカ」など、声質の異なるソフトがシリーズ化される。これらのソフトを使った、無名の音楽ファンたちの自作曲は約2万曲に及ぶ。

 80年代以降、デジタルデータ化された楽器の音をコンピューターで調整し、演奏にしていく「打ち込み」という手法が広がる。だが、人の声は「生」のままだった。ボーカロイドの登場で、バックの演奏から歌まで、専門知識や高価な機材がなくても、すべてパソコン1台で作れるようになる。楽曲づくりをする一般の利用者が、急激に増えた。

 発表の舞台になったのは、07年に本格サービスが始まった動画サービス「ニコニコ動画」だ。視聴者がコメントを入力でき、それがすぐさま画面に流れる。人気のある曲には何千もの人が書き込み、ライブ会場の歓声のように画面が埋め尽くされる。

 人気曲の中には再生数が、のべ数百万回になるものも。そうした中から登場した創作者集団supercell(スーパーセル)は、ソニーミュージックからCDデビュー、10万枚を超すヒットとなった。

 ゼップ東京のステージでは、そんな中から39曲が披露された。昼夜2回のコンサートは、いずれも満員だった。(丹治吉順)

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