現在位置:
  1. asahi.com
  2. ニュース
  3. 特集
  4. メディア激変
  5. 記事

〈メディア激変33〉NASAから―2 視聴者が利用者になった

2010年5月21日19時24分

印刷

ソーシャルブックマーク このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

写真宇宙政策に関するオバマ米大統領の演説の取材をするスパーンさん(中央、提供写真)ら=4月15日、米フロリダ州

 宇宙飛行士・山崎直子さん(39)らの記者会見取材のため、米会社「ニコ・ニコ・ドウガ・インク」社長のジェームズ・スパーンさん(39)らニコニコ動画チームが米航空宇宙局(NASA)に持ち込んだ機材は、そう多くない。パソコンとカメラ、音声用のミキサー――。あとはネット回線が確保できれば生中継ができる。

 大がかりな設備、衛星回線の確保などが必要なテレビの取材陣よりは、かなり身軽だ。「とてもまねできない」と日本の民放の記者は言う。テレビ局もニコニコ動画の双方向性・即時性に注目しており、提携の動きもあるという。

 基本は自分たちで撮影するが、公的機関から無償提供される映像を使うこともある。また、日本側で同時翻訳を付けたりもしている。

 シャトルなど宇宙関連、有名人、政治・経済を中心に取材している。3月には、米アカデミー賞と、前日に開かれる最低映画賞「ラジー賞」の表彰式を生中継、2月にはトヨタ自動車のリコールに関する米議会公聴会も伝えた。

 4月には、山崎さんのスペースシャトル・ディスカバリーの打ち上げ取材もした。

 ニコニコ動画チームはその現場で、周りの新聞、通信、テレビなどの日本人記者にもインタビュー。筆者もカメラの前に立って「出演」した。目の前にはノートパソコンが置かれ、中継画像を見ることができる。

 打ち上げ取材経験を問われて、「2月にあった前回は、大雪のために行けなかった」と答えると、画面に「あの大雪のことか」と利用者からすぐに反応が返ってきた。

 米国でのテレビ取材経験が長く、3月の山崎さんの会見取材に加わったキース藤吉さん(50)は、「これまでは受け身でビューワー(視聴者)と呼ばれていた人たちが、自分たちも参加するユーザー(利用者)になった」と話す。

 打ち上げ日の生中継が途切れ、スタッフが頭を抱えた場面もあった。NASAのネット放送用サーバーへのアクセスが集中し、回線容量が足りなくなったためらしい。

 ニコニコ動画が始まって3年半。5月13日の決算発表によると、生中継を優先的に見られる有料会員からの収入(月額525円)と広告収入などで、初の四半期黒字になった。登録会員1670万人、有料会員も77万人にのぼる。

 スパーンさんは、ニコニコ生中継の面白さを、「ユーザーの声を聞きながら中継するリアルタイム性」という。「つまり、何が起きるのかわからないんですよ」

(ケネディ宇宙センター〈米フロリダ州〉=勝田敏彦)

PR情報
検索フォーム


朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内事業・サービス紹介