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〈メディア激変40〉発祥の地から―7 きっかけは「穴を直して」

2010年5月28日20時28分

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写真ツイッターで送った取材依頼はモニカ・ハギンスさん(手前)が受け、ケビン・ダイアーさん(後ろ)に知らせてくれた=サンフランシスコ市役所、藤写す

 2009年3月上旬、ギャビン・ニューソム・サンフランシスコ市長(42)は市内のツイッター本社にいた。地元発祥のツイッターを、おひざ元の自治体として活用できないか――。ツイッター共同創業者のエバン・ウィリアムズさん(38)やビズ・ストーンさん(36)と話し合っていたところに、市長のツイッターに書き込みが届いた。「路上にできた穴を直してもらえますか」

 市長は前日、「あすツイッター本社を訪問します。何か質問はありますか?」と、自分のツイッターをフォローする市民らに向けて書き込んでいた。

 市長が振り返る。「ツイッターへの質問に、道路の穴に関する私あての質問も紛れ込んでいたのです。これが議論の発端になりました」。市の技術陣とさっそく検討に入り、市への苦情や問い合わせを24時間態勢で受け付けるコールセンター「311」の業務に、ツイッターによる受け付けを加えることにした。

 「ツイッターを創業した当時は、自治体が使うなんて思いもよらなかった」。ツイッター問い合わせサービス「@SF311」が始まった09年6月、市長と記者会見に臨んだストーンさんはそう語った。

 苦情や要望は、他の人に見られないように送ることもできるが、誰もが見られる形での書き込みも可能だ。その場合、市の対応はツイッターを通じて市民の目にさらされることになる。

 コスト削減にもなる。市長は一時、苦情や要望を、携帯電話のメールで受け付けるサービスを検討していた。「採用していたら何十万ドルとかかっていたでしょう。しかし、この経済環境でそんなお金はありませんでした」と市長。ツイッターなら、そうした設備投資はいらない。

 コールセンター・マネジャーのケビン・ダイアーさん(47)によると、ツイッターで寄せられた要望や苦情は3月までに927件。月に約25万件の電話受け付けには及ばないが、ツイッターの利用が広がれば、年間約900万〜約1100万ドル(約8億〜10億円)かかるコールセンターの運営費用を減らせる可能性がある。

 街の異変を通報してもらえば、危機管理上、必要な情報を不特定多数から取り入れる「クラウドソーシング」をすることにもなる。

 記者はこの取材をツイッターを通じて申し込んだ。「48時間以内に対処します」という返事が届いた数日後、ダイアーさんから「何を聞きたいですか?」とメールが届いた。「アクセスのしやすさは自治体の責任です」。ダイアーさんは胸を張った。(藤えりか)

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