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〈メディア激変41〉発祥の地から―8 店の宣伝にも活用

2010年5月28日20時28分

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写真ルナパークを経営するギルバートさんの事務所は常に持ち歩くノートパソコンとiPhoneだ=サンフランシスコ、藤写す

 4月のある月曜の夜、米サンフランシスコ。若者に人気のミッション地区にあるレストラン「ルナパーク」は、込み合っていた。妻や友人と来ていたITコンサルタント会社経営のパトリック・ケーンさん(34)は、マグロを使ったハワイ料理「ポキ」やムール貝、チーズフォンデュなどを食べ、お酒もたくさん飲んだ。3人で約100ドル(約9千円)。「これだけ食べて飲んだのに、お値打ちだよね」とケーンさん。

 この日は、店が何日かに一度催す「食べ物半額デー」だった。ツイッターやソーシャル(交流)メディア「フェースブック」に書かれたパスワードを言うか、携帯電話の画面で示せば、半額になる。しばらく足が遠のいていたケーンさんは、ある時、フェースブックでこの店の割引キャンペーンを知り、再び通うようになった。「ルナパークはソーシャルメディアで活気を取り戻した」。地元ではもっぱらの評判だ。

 ITバブルの熱気がまだ続いていた2000年6月に開店した。当時は「イケてる食べ物を出す人気店」として予約もなかなか入れられなかった。だが、ITバブルの崩壊、08年秋の金融危機を経て、特に平日の客足は大きく落ち込むようになった。

 それが09年3月、ツイッターやフェースブックで割引キャンペーンを始めると、ぐっと活気を取り戻した。経営者のギルバートさん(39)によると、普段の月曜だと3千ドル(約27万円)ほどの売り上げが、割引の日は2倍近い約5500ドルに達するようになった。

 ヒントは何げなく聴いたラジオだった。

 ロサンゼルスに住むギルバートさんは09年2月の夕方、愛犬を散歩させながら、全米公共ラジオ(NPR)の番組を聴いていた。ツイッターの共同創業者で現在、最高経営責任者(CEO)を務めるエバン・ウィリアムズさん(38)が、顧客PRにツイッターを活用する米ダンキンドーナツの例を紹介していた。「割引に使ってみよう」と思いついた。

 そんなに割り引いて損はしないのかと尋ねると、「宣伝費がゼロになったから大丈夫」とギルバートさん。これまでは地元メディアに店の情報を書いてもらおうと、ロサンゼルスで経営する2店と合わせて毎月約9千ドルをPR会社に支払ってきたが、契約を打ち切った。「ツイッターなどを使って顧客に無料で売り込みができるから、もう必要ない」

 顧客の書き込みを通じて、食事やサービスの感想も直接取り込める。長びく不況の下、ツイッターやフェースブックを販売促進に活用する店は少なくない。(藤えりか)

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