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〈メディア激変44〉発祥の地から―11 ネット口コミで増殖する生中継

2010年6月4日18時19分

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写真ユーストリーム日本語版の開始にあわせ5月に新設されたスタジオ。申し込めば誰でも使える=東京・渋谷、高橋雄大撮影

 米大統領選を間近に控えた2008年9月、米オレゴン州ポートランド。16歳の少年と母親はある朝、オバマ氏支持をアピールした手作りの看板が、自宅の庭からなくなっているのに気づいた。前日、掲げたばかり。5カ月前も同じことが起きていた。反オバマ派の仕業か。

 「表現の自由を阻む泥棒を監視してやる」。少年が持ち出したのは、ネットに接続したビデオカメラ。自宅の窓付近に設置して、立て直した看板を、ユーストリームで生中継した。

 すると視聴者数はその日のうちに100人、翌日にはその約5倍に。車が邪魔して看板が見えなくなれば、「車!」と注意を促す言葉がサイト上に書き込まれ、看板近くにゴミ収集車がとまると、コメント欄は大騒ぎになった。視聴者は米国だけでなく欧州、オーストラリア、アジアにも広がり、時差を利用した24時間監視態勢ができた。11月の投票までに30万人以上が注視し、看板は守られた。

 ユーストリームは、生中継を見ながら感想を書き込める双方向性が特徴だ。09年5月にはツイッターと、6月には、友人と近況を共有し合うソーシャル(交流)メディア「フェースブック」と連携。動画の隣の欄に感想を書き込んで送信すれば、それらの自分のページに、動画のURLつきで感想を載せられる。他の人の感想が時系列で流れていくのも、同時に見られる。

 いわば口コミがソーシャルメディアで広まる仕組みだ。

 オバマ大統領の演説などを中継するホワイトハウスや、試合後の選手を紹介するスポーツチーム、ライブを流す歌手など、人気の「定番」番組をサイト上で検索できる。

 実際に中継するには、こうすればいい。

 まず、ユーストリームのサイトでIDやパスワードを設定。ネットに接続したパソコンと動画カメラか、アップルの「iPhone(アイフォーン)」やグーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を採用したスマートフォンなどを用意する。パソコンならサイトの「ライブを開始」ボタンをクリックし、スマートフォンなら「ユーストリーム・ライブ・ブロードキャスター」などの応用ソフトで中継できる。

 思いがけない番組が人気を呼ぶ。サンフランシスコに住む人が08年10月、飼い犬が育つ姿を流し始めると、かわいいと評判になり世界の3500万人以上が視聴。米メディアも報じた。

 「想像もしなかった。兵士を家族らとつなぐためのものが、何百万もの人々をつなぐものになった」。ユーストリームを創業したジョン・ハムさん(31)は感慨深げだ。(藤えりか)

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