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〈メディア激変45〉発祥の地から―12 24時間態勢で問題動画を監視

2010年6月4日18時19分

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写真5月18日、ユーストリーム・アジア設立を発表するソフトバンクの孫正義社長(左)とユーストリームのジョン・ハムCEO=東京都港区、上田潤撮影

 5月に本社を移したばかりの米サンフランシスコと、創業者の一人で最高技術責任者(CTO)のジュラ・フェフィールさん(32)が住むハンガリーの首都ブダペスト。ユーストリームの二つの拠点で、同社技術陣が担う重要な役割が、違法な動画の監視と削除だ。

 著作権を侵害したり、暴力・わいせつ物に絡んだりする「不適切」な動画は、視聴数が急増しやすい。このため、一つの動画へのアクセスが急に増えると、監視拠点で警告が鳴る。時差も利用して24時間態勢で監視するスタッフが、問題だと判断すれば、削除する。視聴者からの通報も受け付ける。監視スタッフの人数は「企業秘密」だが、人件費が比較的安いブダペストに、多くの人員を割いているようだ。

 先行して各国で生まれたネット動画サービスは、録画が中心なだけに、テレビ番組や映画が許可なく投稿され、既存メディアとの間で著作権侵害などの問題が頻繁に起きた。各社とも監視を強めてはいるが、なお、ぎくしゃくする。

 ユーストリームの手がける生中継は、独自に撮った動画が多く、著作権の問題は比較的少ない。違法イメージがつくのを嫌い、最高経営責任者(CEO)のジョン・ハムさん(31)も、「伝統メディアとうまくやっていきたい」と気を配る。2009年に米ABCテレビと連携し、米音楽賞「アメリカン・ミュージック・アワード」授賞式の事前イベントを中継したのもその一例だ。結果的にテレビ放送の視聴者は、前年より約200万人増えた、という。

 「だからこそ出資を決めた」。今年1月からユーストリームに出資し、4月下旬には日本語版を立ち上げたソフトバンク子会社「TVバンク」の社長、中川具隆さん(53)は言う。

 09年8月、東京・汐留のソフトバンク本社で初めてハムさんらと会ったころは、「動画サービスは海賊版を扱うものも多い」という印象を持っていた中川さん。その後、米国やブダペストの監視拠点を見学するうち、「クリーンなものを目指しながら、ビジネスが成り立っていることに驚いた」。広告や有料番組の成長性も見越し、同社はユーストリームと合弁で5月、韓国や中印などで展開する「ユーストリーム・アジア」を設立。出資比率60%の筆頭株主として、6月中に日本にも監視拠点を作る。

 英語版に続き日本語版が始まった背景には、日本市場の存在感がある。月間平均視聴者数は4月末、約1億1千万人に達したが、うち最多の約60%を占める本家・米国に次いで、日本は約15%に上る。「日本は第二の市場だ」。ハムさんらの期待がかかる。(藤えりか)

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