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〈メディア激変50〉伝える、海の向こうで―5 ホワイトハウスもツイッター

2010年6月11日17時32分

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写真米ホワイトハウスで3月12日、記者会見に臨むギブズ米大統領報道官=ロイター

 3月12日の朝を境に、米ホワイトハウス詰めのベテラン記者らはツイッターから目を離せなくなった。

 「オバマ大統領はインドネシアとオーストラリアへの出発を遅らせます。出発は日曜日に」

 オバマ政権の看板政策、医療保険制度改革の議会審議が大詰めを迎え、外遊延期が取りざたされていたさなか。ギブズ大統領報道官(39)の書き込みは「大統領は追い込みに専念」(ロイター通信)などと世界に発信された。

 その後も報道発表がないまま迎えた午後のギブズ氏の定例会見。「これからはツイッターが重要事項の発表手段になるのか」。不快感あらわにかみつくベテラン記者に、ギブズ氏は「どうもメールの調子が悪かった」と釈明しながらも、「手っ取り早く情報を発信できる。これからもっと頻繁に使いたい」と宣言した。

 ギブズ氏がツイッター発信を始めたのはその1カ月前で、公文書として保存することも決めた。ただ、ツイッターのみでの重要発表はこの日が初めて。政治サイト・ポリティコは「ワシントンにおける『公式』という言葉に、ささやかだが重要な進化が起きた」と読み解いた。

 その後、ホワイトハウスはツイッターでの発信を連発した。3月末のオバマ大統領の初のアフガニスタン電撃訪問では、ギブズ氏が現地から「大統領はたった今、アフガンに到着」と速報し、「オバマ大統領がカルザイ大統領の5月訪米を発表」などと30分おきに「実況中継」した。5月末には、ギブズ氏とは別のホワイトハウス名のアカウントが、同政権として初となる軍事・外交指針を示す重要文書「国家安全保障戦略」の全文の掲載場所をいち早く発信した。

 今やホワイトハウスの公式ツイッターのフォロワーは約177万人、ギブズ氏のツイッターも6万人を超える。さらに、交流サービス「フェースブック」の公式ページをリンクしている人は約56万人、動画サイト「ユーチューブ」の公式チャンネルの登録者は約10万人に及ぶ。

 こうした新たなサービスを使った市民への直接の情報発信が増える一方、記者が大統領に自由に質問できる従来型の記者会見は、数カ月に1回ほどしか開かれていない。

 「ホワイトハウス担当記者の死」。ネットメディア・デイリービースト編集者のロイド・グローブ氏はブログで警鐘を鳴らした。政権の発表にフィルターをかけ、批判、反論も交えて報じるジャーナリズムの存在意義が揺さぶられているとみる。「大統領は市民に直結する力強いツールを手に入れた。伝統的メディアは苦境に立たされている」(ワシントン=村山祐介)

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