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〈メディア激変55〉伝える、海の向こうで―10 米政府も支援検討

2010年6月18日17時46分

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写真「ネットは平和的に変化を起こせるものすごいツールだ」と話すホロウィッツさん=藤写す

 5月の最初の週。「世界インターネット自由協会(GIFC)」の副理事、周世雨(チョウ・シーユイ)さん(42)のもとに、一本の電話が入った。「あなたたちに150万ドル(約1億4千万円)を資金提供することになった」。米国務省からだった。

 フリーゲートなどネット規制をかわすGIFCのソフトは、中国に徐々に広がり、当局をいらだたせている。加えてGIFCのメンバーは中国が非合法とする気功集団「法輪功」の信奉者らだ。米ワシントン・ポスト紙は「米国は中国を激怒させるリスクを冒した」と報じた。

 「150万ドルでも足りないんです」

 GIFCのジャニス・トレー会長はいう。GIFCはかねて、米政府に支援を働きかけてきた。最大の理由は、ネット規制をする国や地域が増えて回避ソフトの利用が広がるにつれ、1日150万人の利用を想定してきたサーバーの容量が足りなくなったためだ。5千万人分に引き上げないと対応できない。さらに当局の措置なのか、中国ではソフトが機能しない例も出ており、対抗するには別の設備投資も必要だ。

 GIFCは、1月のクリントン米国務長官の演説に期待をかける。ネット検索大手グーグルの中国撤退問題に絡み、中国を名指しして批判し、「どの企業も検閲を受け入れてはならない」「それは米国のブランド」と言い切ったためだ。米建国の精神にもつながる「表現の自由」の問題に、GIFCは「我々こそ(検閲に)対抗できる」とロビー活動を続けている。

 それを支える一人が、弁護士で、レーガン政権のスタッフだった米ハドソン研究所の上級研究員マイケル・ホロウィッツさん(72)だ。在米中国語テレビの番組に出演した数年前、GIFC側から声をかけられた。「力になってもらえますか」。人権問題にも取り組んできたホロウィッツさんは共感。複数の上院議員を巻き込み、国務省に足を運んできた。

 中国のネット人口は約4億人に上る。イランは08年の時点で約2300万人で、毎年の伸び率は中東諸国の中でも高い。

 「ネットのファイアウオール(防護壁)は21世紀のベルリンの壁。崩すための支援は歴史的なことだ」。ホロウィッツさんは力を込める。

 GIFCへの資金提供について、クローリー米国務次官補は5月12日の記者会見で「最終判断はしていない」とし、詳しい言及は避けたままだ。一方、中国外務省の馬朝旭(マー・チャオシュイ)報道局長は13日の会見で「いかなる政府、組織も反中国勢力に支持と援助を与えることに対して断固反対する」と不快感を示した。暗闘は続いている。(藤えりか)

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