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〈メディア激変57〉伝える、海の向こうで―12 日本から世界の声伝える

2010年6月25日17時38分

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写真「グローバル・ボイス」のエディター、佐々木朋美さん(左)と鴇田花子さん=東京都内、藤写す

 東京都内に住む佐々木朋美さん(25)は2月、英語で書かれたあるブログに目をとめた。「グルジア、冬季五輪開催と同時に起きた悲劇」。書いたのはグルジアの首都トビリシ在住のブロガー。リュージュの公式練習でグルジア代表選手が死亡した事故で、五輪組織委などが「コース上の欠陥はない」と声明を出したことに、「人の命に、どうしてここまで無責任になれるのか」という非難の声が地元で上がっている――。そんな指摘だった。

 日本ではほとんど紹介されていない。そう感じて、さっそく日本語訳に取りかかった。

 都内の大学に勤める鴇田(ときた)花子さん(30)が1月半ば、パソコンに向かっていると、速報ニュースが画面に浮かんだ。「ハイチでマグニチュード7の地震」。「英語や仏語の関連記事を見つけたらどんどん訳して」。鴇田さんはメールで仲間に伝え、自らも訳し始めた。

 2人は、市民メディアのネットワーク「グローバル・ボイス(GV)」の「日本・日本語チーム」の中核エディターだ。チームは、関西も含めて15人から成る。

 GVは英語版を軸に、100以上の国の声を約30言語で載せている。支えるのは世界に散らばる約400人。中東やアフリカ、アジアを含む様々な言葉で書かれた優れたブログを見つけ、英語や母語に翻訳して載せ、自ら書き下ろしで記事も書く。大半はボランティアだ。

 日本語版は2007年に始まった。当初から携わってきた鴇田さんはかつてカナダに留学、08年夏に加わった佐々木さんは米国からの帰国子女だ。ともに翻訳の経験があり、世界の声を様々な言葉で伝えるGVに興味を覚えて参加した。とりわけ「既存メディアが取り上げない」テーマのブログの紹介に努める。チームは、普天間飛行場の移設や捕鯨などについての日本の議論を紹介する記事を英語で書いてもいる。

 佐々木さんは5月、サンティアゴでGVが開いた「市民メディアサミット」に参加した。当局のネット規制と戦うブロガーらの議論に加わって以来、こんな自問が心を占める。

 「ネット規制がほとんどない日本で、もっとできることがあるんじゃないか」

 佐々木さんには、GV中国のエディターらと練る企画がある。日中韓の意見を横断的に紹介する記事だ。当局によって「国境」を作られたネット上で、国境を越えて結集したい。佐々木さんは意気込む。(藤えりか)

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