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〈メディア激変66〉変化を読む―4 時間軸がずれた新たな空間

2010年7月2日19時2分

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写真「情報が断片化し、分散する」と話す小林弘人さん=東京都渋谷区

 「ツイッターなどの登場で、情報の流れが確実に速くなり、『時間軸』がずれてきた。これまでとは違うメディア空間ができている」

 ウェブ関連会社「インフォバーン」最高経営責任者(CEO)小林弘人さん(45)は、今の状況をそう見ている。

 ネット黎明(れいめい)期の94年にネット文化雑誌「ワイアード」日本版を創刊。昨年の著書「新世紀メディア論――新聞・雑誌が死ぬ前に」ではメディア環境の変化を描き、無料サービスを取り込むビジネス方式を描いたベストセラー「フリー」の監修も手がけた。

 ブログに新しい投稿をする。それが読者の目に触れる。あるいはグーグルなどの検索結果に表示される。そんな風に情報が広がるまでには、ある程度の時間がかかった。「ツイッターが検索エンジンに取り込まれ、情報入手はよりリアルタイム(同時進行)に近づいている」と小林さんは言う。それで何が変わるのか。

 新聞や雑誌などのメディアでは、情報は編集され、パッケージ化され、1ページ目から順番に続いていく。「ツイッターでは、個々の投稿は断片化し、分散し、順番も関係なく流れていく。利用者は、そこから自由に欲しい情報を集める。これまでとはメディアの形が違うんです」

 ブログやツイッターで、一握りのマスメディアだけではなく、みんなが発信できる「誰でもメディア」時代。情報はさらに加速し、潤沢になり、安く気軽に使える、敷居の低い日用品になっていく。小林さんはそれを「アフォーダブル(お手頃)メディア」と呼ぶ。「気軽すぎて、発信元すら意識しないまま、利用者は次から次へと情報を見ていく」

 情報の多様化で選択肢は広がるが、半面、利用者が右往左往させられることにもなる。「そこで必要とされるのが情報の背景、文脈を整えてくれる解説者。これまでは、プロのメディアが担ってきた役割です」

 だが情報の激流の中で、既存メディアのスピード感は圧倒的に遅くなった、と言う。「今の速さに合わせて、新しいメディアの役割をどう引き受けていけるか。それが課題でしょう」

 小林さんは、可能性も感じている。

 昨年1月、米ワシントン州で起きた洪水被害では、ほとんど面識もない別々の地元新聞社の記者が、ハッシュタグ(キーワード)を決め、被害状況をツイッターで発信。それ以外の新聞社による情報もリンクで引用し、共有したという。「パッケージ型とは違う、協調、分散型の新しいジャーナリズムの姿と言えるかもしれません」(編集委員・平 和博)

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