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〈メディア激変67〉逆境に立ち向かう新聞―1 共同通信の「電子新聞」構想

2010年7月9日17時12分

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写真共同通信社が運営する携帯向け有料ニュースサイト「NEWSmart」の記事詳細ページの画面

 「変化のスピードの速い時代、時期を逸すると致命的な立ち遅れにつながりかねない」

 新聞社やテレビ局に記事を配信する共同通信社の石川聡社長(65)が、パソコン向けの「電子新聞」構想を内々で示したのは、今年3月4日、地方紙など加盟社の経営企画担当者会議の席上だ。日本経済新聞が本格的な有料電子版創設を発表した記者会見から、8日後だった。

 「電子ニュースリーダー」と名づけたこの構想は、加盟社の紙面イメージを共同通信のサーバーに送り、共通のプラットホーム(基盤)で閲覧できる。中国資本のソフト会社・方正(ほうせい)(本社・東京都品川区)の技術を使い、1社あたりの負担が月間約10万円という安さが売り物だ。

 ただ石川社長は、「紙面をそのまま見せる電子新聞は、販売店が関係する難しい問題があることは承知している」とも語った。

 安さゆえの懸念も。ネット配信用に、記事にリンクを張る作業を人件費の安い中国・蘇州で実施するため、新聞の情報がネットで送られる。

 米グーグルが検閲やサイバー攻撃を理由に、中国からの撤退検討を表明したのが1月。加盟社からは「中国を批判する新聞記事が改ざんされることはないのか」との声も出た。共同通信は懸念を打ち消し、方正への外注はコスト面から必要、と説明した。秋にも始めたい意向だが、参加する新聞社は未定だ。

 さらに6月21日、共同通信は携帯電話向けのプラットホーム「NEWSmart(ニュースマート)」のオープンを発表した。

 この計画案は、昨年4月に開かれた経営企画担当者会議で明らかにされた。その説明資料には、率直な表現で戦略が述べられていた。

 「コンテンツ提供だけでは儲(もう)からない。プラットホームをおさえる」「一緒になることで初めて朝日や読売、IT企業を凌駕(りょうが)できる」

 参加する加盟社などの有料携帯ニュースサイトが連携。利用者が読んでいる記事の関連記事を、サイト横断でお薦めする機能があり、参加社相互に利用者拡大を図れるのが特徴だ。

 13サイトで開始、7〜8月に米大リーグや業界紙を含めた21サイトの参加を見込み、年内に100サイトを目指す。「これだけの携帯サイトが集まったプラットホームは前例がない」と安斉敏明デジタル推進局長(59)は言う。

 部数や広告の減少――。メディア環境の地殻変動の中で、新聞などの既存メディアも動き始めた。(編集委員・川本裕司)

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