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〈メディア激変69〉逆境に立ち向かう新聞―3 日経電子版の衝撃

2010年7月9日17時23分

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写真日本経済新聞の電子版について記者会見で説明する喜多恒雄社長=2月24日、東京都千代田区大手町1丁目

 「電子版の単独購読が予想をはるかに上回り、20〜30代の若い新規読者が期待以上に多い」。日本経済新聞社の幹部は有料の本格的な電子版が創刊されてから3カ月後の6月下旬、手ごたえを語った。5月からの課金で有料会員が5千〜7千人規模でいったん減った。しかし、その後は回復、6月末で想定を上回るペースで約7万人に増えた、と見られる。無料会員を含めると43万人を数える。

 有料会員向けの電子版は、読んだ記事を分析しておすすめ記事が表示されたり、キーワードを登録すると関係記事が自動的に収集されたりする「My日経」とよばれる機能が売り物。電子版だけの記事があるほか、一定件数までは記事の検索も無料でできる。

 日経は電子版の普及を1年間で約10万部ずつ、3年前後で30万部と見込んだ。電子版の購読価格を単独は月額4千円と高めに設定し、紙との併読(月額1千円追加)が大半を占めると見込んだ。

 野村裕知デジタル編成局長(53)は「20%と想定した単独購読が30%台に達している。新聞に関心はあるけれど、マンションの高層階に住んでいて玄関口まで配達されないといった状況が電子版の購読に結びついているのでは。インドや中南米など衛星版の新聞に接しにくい海外からの申し込みも目立つ」と話す。

 日経幹部によると、紙から電子への移行は少数にとどまり、残りは若い世代を中心とした新規購読者だったという。年内にも10万部に届く見込みとなりつつある。

 反響が目につくのは、電子版独自の解説記事という。記事の本文や見出し、関連記事の案内は編集局がすべて担当し、デジタル編成局は電子版の運営に徹している。24時間編集態勢となり、現場の負担は増した。しかし野村局長は「一般紙と違い、元々、複数の媒体に書き分けるのに慣れている。何もしないで10年生き続けられると思っている記者はいないでしょう」。

 日経は他紙に参加を呼びかけている。岡田直敏常務(57)は「電子版で課金する場合の顧客管理システムなどには手間がかかった。各社が一から開発すると負担になる。手数料的なものはいただくにしても、利用したい新聞社にはオープンな姿勢で臨む」と語った。

 他方、共同通信は紙面イメージを読める電子新聞に合同で取り組もうと、加盟社に呼びかけている。共同の加盟社でもある日経と共同通信は、利害が衝突する事態になっている。日経の電子版を利用したい、という申し出はいまのところない。(編集委員・川本裕司)

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